07
黒咲くんと一緒に帰るようになってから随分経った。

冬の厳しさは増し−−今日はクリスマスイブ。

「(リンちゃんと考えてきたけど喜んでくれるかな。)」

学校に行くときは大抵一人だ。

家の方向が違う黒咲くんとは会わない。

−−−
「(ユーゴと一緒にネムへのプレゼントを買ったか……。)」

どうしてネムに買うんだ?

鞄の中にある小さな箱。

昨晩、頑張ってラッピングとやらをした。

別に昨晩で無くても良かったが何となく今日渡そうと思ったのだ。

今日は修業式の前日であるが軽い授業科目の発表会がある。

ネムと話せないまま時間は過ぎた。

《閉会式を行います。ロジェ校長、どうぞ。》

外国人とのハーフそうな顔立ちをしているロジェ校長は発表の講評をしていく。

そして終わり。

《皆さん、分かると思いますが今日はクリスマスイブ!存分に楽しい時間を過ごして下さい。》

そう言い残し立ち去って言った。

思えば今日、ネム自体の姿を見ていないことに気が付いた。

リンに聞けば「中抜けみたい」という事を知った。

「離れていて暗くてよく分からなかったけど誰かに呼ばれて出て行ったわ。」

「それはどんな声だ?」

「……無邪気な少年の声だったわ。あんた、追いかけに行くの?」

「あぁ」といいかけた時、「黒咲くん!」と言うネムの声が聞こえ振り向くとやはり、彼女が息を切らせて立っていた。

走って戻って来たのだろうか。

「心配かけたす?」

ネムの質問に強がって否定をした。

リンはユーゴに吊られ一足はやく教室に戻る。

「誰と一緒に居たんだ?」

「恐い目しないでよん。水色ヘアーの子だったんだけどお腹が空いていたみたいだからね、お菓子をあげていただけよん。」

「っ!!?」

「……?」

「合歓木いや、ネム。」

このままだと危ない。

隼は合歓木の耳元で小さく囁いた。

深い海のように冷たく、雛を守る親鳥のように鋭く。

「今日と明日、俺の家に泊まってこい。」

様子がおかしいと合歓木は断ろうとするが、敢えなく失敗。

「……そこまで、恐い声を出すならば。」



一瞬、水色ヘアーの少年との会話を思い出した。