03
数日後

俺は合歓木を家に招き入れた。
始めは図書館でも良いかと思ったが、話しずらいのでこうした。

「オオー!思った以上に金持ち!」

ソファーに飛び込む合歓木。
まるで、自分の家のように色々としているが此処は俺の家だ。

「おい、合歓木。」

「はい……?あ、すみません。」

「幸い家に俺以外の家族は居ないから良いが、物を壊しそうな位にはしゃぐな。」

「少しなら良いんですよね?」

「……あぁ。」

勉強を教えてやろうと思い準備・計画を練ったが無駄に終わると思われた。

ソファーやクッションをモフモフしている合歓木はやっぱり女子だ。

柔らかいのが好きなのか。

「あの。」

「なんだ?」

「勉強を教えて頂けるんですよね?」

「そうだ。」

「何をするんですか?」

「お前が嫌いな取っていない数学Cから教える予定だ。」

「酷すぎるっ!」

そうだ。俺は合歓木が思うように自分勝手で酷い奴だ。

「嘘だ。英語から教える。」

「良かった。」

どうやら合歓木が本来の目的を思い出したので、準備したのが無駄にならなかったようで安心した。

−−−
あれこれ勉強を教え一つけりがついたとき、合歓木は少し考えた顔をして俺に尋ねてきた。

「何か隠してません?」

「は?」

「初対面でここまで直ぐ様仲良く出来るのは難しく思いません?」

「俺は人が合えば不可能じゃないと思うが。」

ジュースを口に入れる。

「そう……だよね。気のせい気のせい!」

ごめん、と続けて言い「次は?」と訊いてきた。

「今日はもう3教科も教えたが疲れていないのか?」

「んじゃあ、もう無い!っていう意味合いよね!」

何を考えているんだ。
俺は笑顔の合歓木を睨むように見つめる。

「黒咲くんの家を探検しても良い?」

「それは駄目だ!」

つい直ぐに声を荒げて返してしまい、合歓木は驚くように目を開いた。

そのまま互いに無言の時間を過ごし、合歓木は帰っていった。