02
「秘訣とは?!」
前のめりになる合歓木。
俺は近すぎる顔を手で止める。
ここは教室で沢山の人が居るんだ。少しぐらい弁えろ。
「じゃあ、俺の家に行ってから教えよう。」
「イヤらしいですな!」
……何処が。
「男子の家に行くのは……あれ?」
「もしかして、合歓木は彼女が居たのか?!」
ガタッと立ち上がった時には遅く、目線が二人に集まる。
「黒咲くん……私は女子だよ?」
しまった。
今までデュエルでの『しまった』はかなり危険だが、ここではそういう事はない。
きっと、合歓木が感じている違和感はそこから来ているのだろう。
しかし、違和感があるならば今までの世界と違うことに気付くだろうか。
不安が襲う。
もし、戻ってしまったら合歓木は……。
「黒咲!なに合歓木の事を無視ってんだ!」
ハッと我に帰ると困った顔の合歓木と声の主ユーゴが居た。
「テメェは合歓木とイチャ……イチャ。」
会話の途中で顔が赤くなるユーゴに合歓木は「そんな関係ではナクナクってよ?」と突っ込みを入れた。
そうだ。
今回で合歓木とは、高校1年の冬から−−つまり今日−−始めて話したのだから。
「リンとはどうなんだ?ユーゴ。」
隼は話の方向を変える。
「はっ?!急に何言ってるんだよ!あ、アイツとは。」
顔がますます赤くなるユーゴ。
「まさしく、校内有名カップル。」
ジト目ながらも言葉を繋ぐ合歓木。
「ちょ、合歓木と隼さん……。」
遠くにいたリンは戸惑うしかないので近くに寄る。
「どんだけ息がぴったりなのよ。」
「リンちゃんだっ!でも、始めて会話をしたん。」
「その口調で?」
「そうそう!あ、黒咲くんとユーゴくん?」
二人は立ち上がり教室を出ていく。ちなみに無言なので怖い。
「……仲いいの?」
「同じ運動系だからね。ねぇ、合歓木ちゃん?」
二人を見送ったリンは合歓木に振り向き提案をした。
「これから一緒にアクセサリーでも買わない?」かと。
合歓木は快く「いいよん。」と返した。
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