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合歓木が『ああ、そうか』のような表情をしたのと、ほぼ同時に隼は安堵した表情になった。何とか回避をしたのだ。

しかし、次の瞬間、その表情は崩れる。

「それは、ユーゴじゃなくって"ユーリ"さんよんね?」

「!!」

「ユーリさんは、黒咲さんはユーリについて少し知っているって言っていたから、間違えちゃったんね?」

ここはどう切り返せば良いんだ?
何かがキリキリ切れ始めだ。

合歓木は至って仲良くなった時と同じように淡々と話している。そして、少しばかり嬉しそうにユーリについて語っている。

肯定しなければ合歓木は怒るだろう。だが、ユーリは幼い合歓木を瑠璃について知っているからと追い詰め捕らえた。

隼の表情は徐々に歪んでいく。アカデミアによりこの世界に飛ばされる前、荒れ果てたハートランドでアカデミアの生徒達をカードにしていた時のように。

ある時、カードにしてやった生徒達のデュエルディスクを改造し、融合次元に乗り込んだ。だが、上手くは行かずアカデミアの地下の牢獄に幽閉された。

そして、アカデミアの研究員達が言い出したのは『研究段階の統一後の次元の世界に閉じ込める』であった。ユートはきっと心配をしているだろう、瑠璃と合歓木は近くに居るのに見ることすら叶わない……。

「さあ、行くが良い」と言われ目覚めればこの世界に居た。そして、合歓木が成長した姿で暮らしていた。

元々、俺と親戚の合歓木は5歳ぐらい離れていたので、まさか同じ歳に成っているとは。

次に素良と出会い日記を渡された。どうやら、この日記が無ければこの次元は上手く回らないらしい。ならば、利用しようとしたが一見、素良やユーリがふざけて書いたような内容しか無かった。破り捨てれば二度と瑠璃や合歓木を救い出す事は出来ないと言われ、日記はそっと置いてある。

そして、不意に言われた『合歓木が見たときに変わる』とは一体何だったのか。
何故、俺と合歓木が喧嘩をした際に合歓木は必ず消え、世界が繰り返すのか。

「合歓木のストーカーはユーリがただ、見張っているだけではないのか?」

「そうだったのかもよん!」

合歓木は隼に背を向け教室の扉を開ければ、ユーリが立っていた。


「実際はどうなんですかい?」