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継ぎ足しページ、書いた人が違うせいか字体が違う。

それでも、ページは違和感を感じても消すことは出来ないから、未来を歪めていく事に決めた。

ページを継ぎ足した部分は幸せであった。

そのページを見た者は、不幸が好きだった。

継ぎ足されたページは、特定の人以外を拒絶し、自然と不幸へ歪めていった。


−−−
「(また、喧嘩をしてしまった……)」
ユーゴは無言で項垂れていた。

屋上の日陰、空は晴天、昼下がり。
小鳥はユーゴを見ては少し距離を取り、小さな虫を頬張っている。

あんな風にご飯を食べてしまったから、リンは『だらしない!ちゃんと丁寧に食べなさい!』と母さんの様に怒った。

『いいじゃねえーか!俺たちは高校生だから沢山食わせろ!』
『そういう意味ではないわ!行儀よく食べなさい!』
『んだったら、アイツラにも言えよ!』

キッ!と睨むと、ユーゴでいう"アイツラ"は肩を小さく振るわせた。
ある人は『またか……。』と言い、ある少女は『仲が良いんよ。きっと。』と笑う。

普通なら此処で終わるが、喧嘩はヒートアップした。

最終的には、リンの(愛)ビンタで終わったが、リンの『もう知らない!』という声がユーゴの胸を痛めた。

涙が出そうになると、1つの人影が現れた。

泣いているユーゴを心配し、私は彼の元へ着た。

「大丈夫かい?ユーゴさん。」

「……大丈夫じゃねえから、この場所に居るんだろ?」

「そっか。」

私はユーゴの隣に座った。手には予め買っておいた紙パックの野菜ジュースを渡す。

「いいのか?」とユーゴは言った。勿論、私の返答は「良いよ。」である。

「一回や二回の喧嘩でさ、落ち込む必要はナイト思いますよ。」

「……彼女持ちの気持ちをお前は知らないからだ。」

「うーん。昔に一回だけデスカネ、彼氏のように接していた人は居ましたよ。彼も同様。」

変人のお前に居たのか?!とビックリした顔で返された。不服だ。

私だってあの冬まで幸せを紡いでいたんだ、という言葉を抑えた。時計を見た、あと数分で授業が始まる。

「衝突はあって良いことよん。」

そう言い合歓木は、ユーゴの元を離れ、階段を下って行った。

「合歓木……。」

ユーゴの呟いた声色は不思議な感情を秘めているようだった。

私の行き先は、学校を出た先にある。窓から微かに見える、"合歓木"(私)の存在に目を細め次に目的地まで走った。


「合歓木!なあ、さっきはありがとよ!」
「?、なんのコトり?」
「……え。いや、だって……リンとのアドバイスを……。」
言葉を失う。
「リンさんと私はずっーと、話していたよん!!」
戸惑うユーゴといつも通りの合歓木の温度差に、風邪を引きそうだ。
そのやり取りを見ていた黒咲は、そう思い微かに口角を上げた。