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※黒咲さんの事を悪く書いている所があります。ご注意下さいませ。



体温計が見つからず、合歓木は苦戦していた。
「ドコ?」
一人暮らしにしては部屋の数は多く、救急箱のような物は見当たらなかった。
「もしかしたら、よく使う部屋にあるかも知れないくねくね!」

固く閉ざされた扉を合歓木は開け、明かりを着ける。
一瞬にして、部屋は明るくなり眩しさに少し眩む。

しかし、この眩みがずっと続いていれば良かったのに、そう時間が経った後に思ったのだ。

「……。」
合歓木は言葉を失った。

ただ、「ナゼ」という短い言葉が出たのみであった。

ノートが開いており、そこには合歓木をどう騙そうか等……酷いことが書かれていた。

近くには、合歓木が黒咲に渡したプレゼントが粉々になっており、悲しく壊れた物が乱雑に置かれていた。

「ふざ……。」

頬に当たる風は冷たい。
カーテンは揺れ、隙間から、雪が強く吹き付けている事が分かった。

ただ合歓木は呆然とそこに立ち続けていた。


何分……いや、数時間後だろう。
「ネム!!?」

黒咲が合歓木の元に駆け寄った時は、既に遅く、憎悪で満ちている合歓木の表情を見た。

合歓木自身は今、自分がどんな表情をしているかは分からなかった。

なんか、こんな事前にもあったような。

前にも言ったことがある台詞を黒咲にぶつけていた。

「黒咲さん……いいや、黒咲ってそんな人だったんだ!許さない!」

そして、何故か開いていた窓から合歓木は身を投じた。


−−−
「素良、プロデューサーの言われた通り、また同じ終わり方をしたから罰は与えられないって。」

「……ユーリ。本当にこれで良かったのか?」

「大丈夫、また繰り返すから、また同じ終わり方をするだけでしょ?あーあ、エクシーズ次元の残党って虚しいね〜。」

「じゃあ、また合歓木のストーカーをするの?!」

「あれはあれで面白いからね!」

「(遊矢に似てる人たちって考えが恐ろしい)」


こうして、また繰り返す。

隼は日記のページを開いた。