偶然。ヒトコマ。
公園で偶然、柚子ちゃんと出会った。
今は8月の終わり頃で、夕方頃になると冷え込む日が増えたものだ。そして、彼岸花の蕾を至る所で見るようになり、木々の葉は徐々に色を変えて行く。
私は夕方前に散歩をしようと思って、公園に来た。そんな時、ベンチに座っている柚子ちゃんを見付けたのだ。
柚子ちゃんは相変わらず、ノースリーブの制服を着ており、寒くないのかと思う。
(いや、まだ暑い日々が続いているのに何を思っているんだろう。)
そんな私の表情を読み取った柚子は、寒くないわ、と微笑んだ。やっぱり、柚子ちゃんはストロング。
「柚子ちゃんは人を覗けるの?」
驚いたかのように柚子ちゃんに聞けば、かなり否定をされる。
「そんな事は無いわよ!偶然よ。」
必死に腕を振り、身ぶりで違うと説明をしてくれた。髪の毛も綺麗に揺れていて、8月末なのに桜の花がヒラヒラ舞うように見える。
桜の花を思い浮かべてしまうと、心が暖かくなるように、和んでしまう。
(ずっと、こんな日々が続けば良かったな。)
柚子ちゃんが何か嫌な事に巻き込まれたらしく、当分の間は帰れないらしい。当日の大会を体調不良で休んだ私は、大事な柚子ちゃんの力に成れずに、ただ遠くから祈るだけしか出来なかった。
−−−
きっと、柚子ちゃんは他にも友達は居るだろうから、こんな風に思う柚子友達夢主が欲しい