エクシーズ次元で、悠祈は今もなお仲間を待ち続ける。しかし、町全体が廃墟となったこの場所では、生きるのが辛かった。
食料が欲しい。
新しい洋服が欲しい。
この次元から出る方法が欲しい。
アイツらを追い出せて消えて平和な世界が欲しい。

悠祈は敵と戦いながら耐え続けた。
ある日、ボロボロな洋服の上に敵であるアカデミアの上着を着た。多分、誰かが置いていった物なんだろう。

今の季節はボロボロな洋服一枚だけでは厳しい。悠祈はこれで寒さを凌ごうと眠りに就こうとした。

だが、それは出来なかった。

「貴様もアカデミアか!!」

どうやら彼は噂で聞いた『カイト』という人らしい。疲れた身体を奮い立ち上がった。

「私は……アカデミアの上着を羽織っているだけ。ボロボロだから寒いの。」

朦朧とした意識で相手の問いに答える。この崩れかけた世界でならば信じて貰える、そう思っていたのだが−−

「嘘だな。」

見事に弾かれた。

「っ、デュエル!」

悠祈は目を見開き、デュエルディスクを起動させ先攻を貰った。しかし、涙が溢れて来てはカードに当たる。

「何でだろう?……私はカードを一枚伏せてターンエンド。」

カイトはそんな悠祈の姿に目もくれず、デュエルを進めた。

「何故、貴様は泣きながら続ける?」

ふと、カードを動かす手を止め悠祈に問う。だが、悠祈は涙を流すばかりで答えない。彼女のフィールドにはカードは何も無かった。

「これで最後だ!!ダイレクトアタック!!」

「−−−!!」

−−−
「今までの中で、一番足りないデュエルだった。」

「だって、疲れたんだから当たり前じゃん。」

「そうか。なら、安らかに眠れ−−!!」

カイトは怒りを含んだ声で、エクシーズ次元の悠祈を、かつての仲間だった悠祈をカードに変えた。

「ありがとう、カイト。ごめんね、黒咲、ユート。」

彼女はカードの中で呟いた。


−−−
目覚ましが鳴っているのを止め、悠祈はベットから降りた。
「あ〜!今日、柚子さんのデュエルの相手をするんだった!」
急いで、鞄の中にディスクとカードを入れ、部屋から飛び出した。