さくら色に告ぐ



※少し時系列を弄ってます。
※夢主はアカデミアの人、幼い。
※髪色指定してます。しかし、全体的にか部分的にかはご想像にお任せします。

柚子と知り合う前の話。
確かに俺よりも背が高く、少し年上であろう女の子と出会った。
幼い記憶はほぼ全て薄れ薄れ曖昧なのだが、その女の子と恐怖の数日は未だに薄れない。

何故ならば。

父さん−−遊勝が有名なプロデュエリストであったため、俺は幼い頃から意外とテレビ等のメディアに出ていた。

勿論、父さんを脅迫する人も居たがいつも笑って無視をしていた。

「本気で来ないよな……。」
「あぁ、こんなのお遊びだよ、遊矢。」

この時二人は、まさか本当に俺が連れ去られるとは夢にも思ってなかった。

遊んでいた友達と別れ、別々の道に入る。夕焼け空が不幸をもたらすかのように不気味で薄暗かった。
と、その時だ。
「榊だな。」
「はい、……!」

俺は呆気なく連れ去られた。
薄暗い部屋、微かな灯りが俺の身体を照らす。
「……。」
涙も出ず、食欲も出ず、ずっと大人しくしていた。

−−−数日後。
外が騒がしいのか、音が聞こえた。
「これは。」
その人の周りには、監視をして居た人や機械が散乱しており、その人はデュエルディスクを着けていた。デュエリストなのか?
俺を見つけては走り出し、声を掛けられた。
「遊勝さんに頼まれて来たよ。」
父さんに頼まれた割には俺とほぼ同じ歳で、さくら色の髪色をしている。
その後、疲れていた為か眠気には勝てず、さくら髪色の少女に身体を預けていた。

「遊勝さん。この子で合ってますか?」
「あぁ。七味、ありがとう。」
遊矢くんを遊勝さんへ渡す。
「しかし、何故自分から行かないのですか?」
「それはね、実戦経験がある人の方が良いと思ったからだ。」
「……実戦経験があるとは言えこの次元を偵察しているアカデミアを使うとは。流石。」
悠祈少し呆れたかのような表情を見せる。
遊矢くんはずっと眠っており、遊勝さんは微笑んでいる。
敵なのに異様な光景だ。
「では、私は帰りますよ。誰にも、プロフェッサーに伝えないで下さいね。」
悠祈はデュエルディスクを使い一旦、融合次元へ戻って行った。
「……さて、帰るか。」
見送った遊勝と遊矢も家路に着く。

−−−
その後、引っ越した先に柚子が居た。俺を助けたさくら色の少女だと思い声を掛けたが、違う!とハリセンで叩かれたのが始まり。

かなりの年数が経ち、現在。
アカデミアからの侵略があり、俺らランサーズが対峙していた。
オベリスクフォースを一人倒した時、仮面が割れたようで顔が見えた。
「遊矢くん。」
「え?」
懐かしいさくら色の髪が見えた。
「久しぶりだね。」
「……お前は何と言うんだ。」
「七味 悠祈。今も、遊矢くんを助け出した時も敵同士だ。」
遊矢は悲しい感情が溢れてきた。

柚子と似たさくら色の彼女−−悠祈に対し涙が頬を伝った。


(仮面が割れた事実は敵同士。)
(それでも、ひっそりと悠祈に恋をしていた。)