時が迫り、意志はこう告げた。
――純粋な存在を、我らの元へ。
意志に従って、女の子は『彼女』を連れ出した。
そして意志はこうも告げた。
不完全な存在――『彼』は不必要。
不必要……。
女の子は迷った。
いついかなるときも従順だった女の子に、戸惑いが生まれた。
女の子も意志を通じて知ってはいた。
彼が、純粋な命として選ばれた彼が、本当は不完全であったことを。
どうしても。
女の子はその不完全な存在が、どうしても気になっていた。
女の子は知っていた。自分が『彼女』を模して創られた欠陥品だということを。
女の子は知ってしまった。自分が彼女と同じ想いを彼に抱いているということを。
女の子は知らなかった。自分の意思が、かの意志とは関係無く存在しているということを。
その不完全なはずの彼。
……一緒にいてほしい。
女の子は、思った。
だから女の子は意志に意見した。
彼が純粋な存在だと、自分がその証拠を見せるからと。
だが、『彼』は女の子を拒んだ。
やがて『彼女』も、純粋な存在を拒んだ。
それでも女の子は、必死だった。
『純粋な存在』として生み出されたために。
そして何より、彼と一緒にいたかった……ために。
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