02.登場早いけれども
それから数分後。
姉妹は外界への扉を開きました。穏やかな空気と暖かな日差し、緑の景色が満ち足りています。
平和な森の姿です。
しかし、姉はものものしい雰囲気でした。
「いい、ゼオラ。私たちはラトのもとへ向かわなければなりませんが……ここ最近、狼が出没するという報告が『仲間』の間で広がっています」
がしゃこ。
姉はライフルを構えます。ぶっちゃけ怖いです。
そう、姉の職業は狩人。それらしい格好がもの凄く似合っています。似合いすぎて迫力満点です。物語的には登場が早すぎるような気がしますが気にしちゃいけません。
それにね、と姉は続けました。
「ついこの間、ベーオウルフという異名をもつ狼が隣の森で暴れ出したそうよ」
「ベーオウルフ……」
妹――いえ、今では蒼ずきんを被った少女は反芻します。
「その件は事なきを得たそうだけど……この森にも危険があるということです。だから油断は禁物よ」
「はい、姉様」
「でも大丈夫。私がいます。そう、エモノは逃がしません」
「姉様……」
頼りになる凛々しい姉の姿に、蒼ずきん少女はほっと安堵の息を漏らしました。でもちょっと怖いかも、と思ったのはここだけの話です。
「さあ、行きましょう」
「は、はい!」
異様な気迫を感じながらも、蒼ずきん少女は姉についていきました。
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