03.台本無視展開






何分もかからずに、赤ずきんちゃんは目的地であるレモンの家へと辿り着くことが出来ました。

「ありがとうございましたの」

ペコリと頭を下げる赤ずきんちゃんに、狼はそのまま頭を撫で返しました。まるで実の娘のような扱いです。心なしか、父親っぽい雰囲気が出ていました。

「じゃあ、これで……」
「いえ、お礼をしたいので一緒に来ていただきたいですの」

有無を言わせず、赤ずきんちゃんは無理矢理に狼の腕を引っ張って家の中に連れ込みました。

驚いたのは狼だけではありません。

「あら、いらっしゃいアルフィミィちゃん。そちらの……犬耳のかたは?」

清楚な白衣に緑の液体が入っている試験管を持った人物―――レモンは、不審そうに二人を見ます。怪しいのはどっちだ、という疑問はスルーです。

「ええ、森の中で迷っていた私を助けてくれた狼さんですの」

赤ずきんちゃんは嬉しそうにそう言って微笑します。

「そうなの。よかったわね」

レモンも微笑し返し、あっさりと納得してしまいました。狼って危険な生き物だよな? という疑問は無視です。

「レモンさん、これをお母様さまから預かっておりますの」
「あら、ありがとう」
「あと、この花束は私からプレゼントですの」
「あら、きれいな花束……ありがとう、アルフィミィちゃん。お礼として、お茶会でもどうかしら?」
「喜んでお受けいたしますの」

うふふ、と笑いあう女同士のノリで、お茶会が開催されることになりました。





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