04






乱入者にすぐさま反応したのは、母親だった。

「やだ、ダーリンったらこんなところでどうしたのよ」
「ダーリンはよせ。それに尋ねたのはこっちだ」

やれやれ、と精悍な風貌を持つ乱入者――この一家の大黒柱でもある父親が僅かに目を伏せる。これでも呆れているらしい。

「冗談よ、じょ・う・だ・ん」

あっけらかんと笑顔になった母親は、姉に目配せをした。

最初は少しだけ目を丸くした姉だったが、母親の意図を読みとったのか部屋を去る。

……どうしたのでしょうか……?

少女は困惑するばかりだった。夢を見て泣いたことがそんなに重要なことなのかと悩んでいると、

「……もう一度言おう、何があった」

ええ、と母親が真剣に受け止める。

「夢を見て泣いたらしいの」
「……………………」

黙り込む父親。やはり、少女の変化(?)に驚いたのだろうか。



この場に微妙な空気が流れていく。

…………いっそのこと、夢のことを話してみましょう。

少女はふと、そんなことを思った。

話せばどうとなるわけではない。わかってもらえる保証もない。

しかし、少しだけ。
そう、少しだけでも伝えたくなったのだ。

夢の中の、女の子のことを。

少女は、ゆっくりと口を開いた。

「……夢を…見ますの。ある女の子の、夢……」

夫婦は唐突に始まった少女の夢に顔を見合わせ、さりとて真剣に聞いた。





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