勇者の何でも相談室




拍手お礼・スマブラX
『勇者の何でも相談室』



マスターさんに“ここが相談に一番いい”って聞いて、来ちゃいました。失礼を承知でお邪魔させてください。それからよろしくお願いします。

……昔話になるんですが、僕がパルテナ様直属親衛隊の長として任命された時は嬉しくて嬉しくて死ぬかと思ったんですよ、僕天使なのに。

それから同僚や後輩、上位天使の方々に賛辞の言葉を貰って、頑張っていこうと思ったんです。僕ら天使にとって神の傍でお仕えすることは凄く名誉あることですから。

勅命式の時なんて、パルテナ様からは直々に“頼りにしています”と御言葉を頂いたんですよ! 僕、あの時凄く感動したんですよっ!

……あ、取り乱してすみませんでした。でも僕、あの時のパルテナ様は一生忘れません。

だからこそ日々鍛練に励み、剣と弓の腕を磨き上げています。隊長として相応しい実力を身につけるのは僕の責務ですから。

こうして鍛練のために異世界の英雄の方々と剣を交えられるのも、パルテナ様の寛大なる御心のおかげなんです。

本来であれば異なる世界は強固な壁で遮られていて、こうやって異界の住人と出会えたことは奇跡みたいな事なんだってパルテナ様から教わりました。

それに僕が下界を気にしているようだから、とパルテナ様が大乱闘の参加のお許しをくれた時は涙が出そうなくらい嬉しかったんですよ!

そして今、大乱闘を通して見る見るうちに腕が向上する生活はとても充実してます。皆さん強くて優しいし、気のいい人たちばかりで。僕、水鏡から見るしか無かったから…こうして皆さんとお話できて光栄なんです。

…え、えっと、口にするのはちょっと気恥ずかしいですけどね……あはは。

それをパルテナ様に報告したら、良かったらずっとそちらにいてもいいんですよって言われたんです。

だけど僕は、パルテナ様の親衛隊の隊長です。

僕、パルテナ様に従事すべき天使なのにこんな夢みたいな時間を過ごしていたから、嫌われたんでしょうか…。

どうしたらいいんでしょう?
何かアドバイスがあれば言ってください。お願いします!


・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・



長かった。非常に長かった。すみません相談があるのでお願いしますと真顔で言い放ち、休憩中の俺の部屋に陣取って語り出した天使。

仕方ないかと耳を傾ければ右から左へ突き抜ける威力を伴う長々とした言葉の羅列が並び立てられ、内容を上手く記憶できなかった俺は内心呻く他なかった。

物が極端に少ない無味乾燥な自室での沈黙が、余計に口を出せない要因になっているから困りものだ。

しかしこれはどうしていいものか。
俺は正式な臨床心理学者ではない。どうするべきかなどと素人には判断できるものじゃない。かといって真剣に悩むこいつを見捨てるわけにはいかない。後でマスターハンドをぶん殴る事は確定事項だがな。

ま、やれるだけやってみるか。

そうしてなけなしの記憶を脳内で整理し、会話を朧気ながらに思い出せば―――あっさり答えが見つかった。つーかよくよく考えれば単純なものだよなこういうのって。当事者よりも第三者のほうが物事の是非をよく見極められるという、いわゆる岡目八目状態である。

「ピット」
「は、はいっ!」

俺は大きな息を吐き、覚悟を決めて一言。


「とりあえず一度天界に帰れ。」


おしまい。








あとがきのような呟き。

ピットとパルテナ様は親子のような関係だったらいいなーという妄想から派生した拍手御礼でした。

まずマザコンというか女神崇拝というか、パルテナ様に嫌われたらどうしようというピットの葛藤にリンクが出した対策は『一回家に帰って落ち着け』という事です。決して、嫌味を言ったわけではありませんのでご安心を!

こんなノロケた親子愛の巻き添えを食らった勇者はこの後創造神に殴り込みにいく予定です←

では、拍手ありがとうございました!

2010.02/17



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