学生の憂鬱





残暑もさることながら朝の清々しい空気が寝覚めを誘う時期に差し掛かった。
遅い秋の知らせが届いたのか、ある者は読書に没頭し、ある者は味覚を潤し、日々を刻々と過ごしているだろう。
かくいう俺も秋の定番をなぞる日々に専念している、のだが……。

目の前は真っ白だった。
今までに蓄え培ったはずの常識的な言語の羅列が俺の混乱を倍増させる。読めるんだが意味がわからない。理解不能だ。頭の回転が不協和音な合唱を叫び、不快感は上昇するばかりである。今にも頭が沸騰しそうな気分を気力で抑えつけるが、いつまで保つことだろう。あまり自信はない。

俺は気分転換をしようと、一旦愛用のシャープペンシルを真っ白な問題用紙の上に転がし背を伸ばした。

うーん、と凝り固まった上半身の筋肉をほぐす。

…………退屈だ。

一気に力を抜いた影響が俺の精神にも響く。目の前に広がる問題用紙。養い親に勧められた大学の受験対策用に買ったそれは、俺の気分を削ぐには十分過ぎるまでに分厚く、難解だった。
得意科目の歴史や地理ならまだしも、苦手科目に至っては論外であった。というか解答の道筋すら自分で解読できないのだから、やる気もあったものではない。受験を控えた高校生というのもなかなかにしんどい。

「受験が体育だけなら楽なんだよな…」
「それはないでしょ、リンク」
「そりゃそうだ、って?」

と、そこで俺以外の気配に気がついた。

クスクスと穏やかな忍び笑いを零しながら自室に入ってきた婦人。その手に収まっているお盆の上に、冷えた麦茶と軽いお茶菓子が乗っかっている。

「ウーリさん、すみません」
「いいのよリンク。ちょっと休憩しましょうか」

ウーリさんは、とん、と狭い机の隅にお盆を置いた。その音を合図に全身の緊張が解かれる。
相変わらず配慮の細かい方だ。

しかし何というか。

「ウーリさん…」
「何かしら?」
「妊婦さんなんだから、無理しないでくださいよ。階段登るの大変ですし」

そう、養い親とはいえ親は親。
ましてや彼女はお腹に命を身ごもっているのである。階段でこけた、などという事態に陥らないためにも、ウーリさんにかかる負荷は避けなければならない。
だというのに彼女は普段の家事に一切手を抜かないのだ。好きにさせてやれ、と夫のモイさんは信頼した様子だが、万が一の可能性も……

「心配しなくても大丈夫よ」
「いや、だから……ああもう、階段だけは俺にエスコートさせてください」

おっとりとしている性格を嫌という程知っている俺はこれ以上の会話を諦め、半ばやけくそ気味に席を立った。

「ありがとう」
「どう致しまして。じゃあ行きますよ」
「頼もしいわね。夫が嫉妬しちゃうわ」

ふふふ、と微笑んだウーリさんを先導すべく、俺は自室の出入り口に移動する。

まったく、適わないな。

短いため息混じりに苦笑し、俺とウーリさんは慎重に階段を下りていった。





ゼル伝パロ序章的なものでした。
これを維持したらもうすぐ小説もアップできるか?と調子に乗る。

パロとしては勉学の秋に励む学生リンク。
この後、養い親モイさんから家庭教師を雇い入れるといわれ、複雑な心地になる。
しかしいざやって来た家庭教師は超絶美人のゼルダだったという。ドタバタラブコメ気味だったらいいな。

前にも書いたネタをリハビリがてらに書いてみましたが序章しか浮かばなかった。この先は妄s(ry…想像で補ってくだされば助かります



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