―――目覚めた。
彼の者。覚醒と転生を繰り返し、世界に混乱をもたらす魂。
『力』そのもの。
彼の者は、世界の起点と収束の一つだった。
彼の者は『力』に魅入られ、強大な闇を宿していた。
しかし、彼の者は封じられた。
太古からの役目。輪廻の定め。
彼の者は怒り狂った。憎悪を抱き、封印を解こうと狂った。
もがき、あがき。
……彼の者の『力』は遠く及ばず、封印の中で体は朽ち果て、ついには魂と化した。
魂となった彼の者の憎悪は尽きることがなかった。
やがて遥かな時が流れ、封印に綻びが生じていった。
僅かな隙間を縫って、魂は輪廻に回帰し、再び転生した。
だが、あまりに強大な闇と憎悪の混じり合った魂は、転生の順序を狂わせた。
オ……ノレ………
オノレ……………ン…ク……!!
『力』と『憎悪の矛先』を求めて―――彼の者は。
目覚めた。
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