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……流石だな、モイさんは。

悔しさと尊敬が胸中を埋める。
緻密に作戦を立てた。俺の最大限の戦略を尽くした。
剣を交える度に、幾度となく考えを練って師匠に対峙した。

……が、歴戦の剣士に言わせてみればまだまだ半人前、半端な戦術に過ぎなかったのだ。

まだ勝てない。当たり前だ、数多の戦闘を経験した剣士は洗練されている。経験の差が天と地ほどに離れているだけに、悔しさがじんわりと滲む。

……よし。

俺は心機一転、と気合いを含めて大きく深呼吸をした。
肺に緑の息吹が送り込まれ、淀んだ空気を吐き出した。多少なりとも爽快感が突き抜け、前へ進む活路を開く。

まずは行動あるのみだ。全力を尽くした結果に納得はいくが、このまま引き下がりたくはない。
未熟だと明言されてしまっていては、もっと自主練習の密度を高めるのが妥当だろう。せっかく作戦の脆弱性が的確に示されたのだから、次こそは剣の腕に磨きをかけて勝率が上がるよう努力しなければ。

かといって一人では勝手がわからないところも多々あるだろうし、牧童の仕事も怠る道理はない。

非常に難しいが、苦手な朝の鍛錬の回数を増やしてもらえるよう頼んでみ……

「……おいおい」

呆れた声が唐突に介入し、俺の脳内に展開しかけていた計画を一時中断させた。



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