冷却の気持ち良さに身を委ねていると、
「いいか、リンク」
モイさんは語りながら俺の傍らに腰掛けた。
「お前は動作が大ざっぱすぎる。そして守勢よりも攻勢を選ぶ」
「っ!」
いきなり核心を突かれた。
あまりにも図星すぎて言葉が出ない。
「だから攻め込まれれば弱い。防御を考えず、受け流しているだけだからな。それと、お前は自覚していないだろうが」
一旦言葉を切ったモイさんは、傍の木に立て掛けていた俺の木刀を無造作に掴む。傷だらけの木刀は、俺の未熟さの象徴のように思えた。
「……己の『勘』に頼りすぎている。いつか本物の戦場で敵と遭遇し『勘』だけで戦えば、緊迫した周囲の情報を見失ったまま状況に置いていかれる羽目になるぞ」
ひゅっ、と木刀が空気を切る音に、鼓膜が揺さぶられる。
「オマケに二、三手先まで考えて行動しているようだが、相手に『動きを読まれていない』ことを前提としている。そこを付け込まれれば脆く崩れる……だろう?」
…………………。
参った。
俺は師匠の観察眼にただただ感服するしかなかった。
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