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「お前に素晴らしい任務を与えてやろう。光栄に思え!」
 前置きもなく居丈高に話しかけてきたのは、滅多に顔を合わせることのないルゲイエだった。いつもどこかに引きこもって実験ばかりしてるのに、いきなり何なんだろう。なんか妙に目が血走ってるし。こわい。
「えっと、いろいろと大丈夫?」
「ただの寝不足だ。ええい、そんなことは問題ではない!」
 そう言ってわたしの手をとり、変な香炉を無理矢理受け取らせる。……ルゲイエって時点で怪しすぎて逃げたいんだけどなぁ。

「これ、何?」
「催眠薬だ」
「うー?」
「ゴルベーザ様や水のカイナッツォが使う洗脳術を知っているだろう……この薬さえあればお前のような無能な者ですら人の心の闇を導き出し弱味につけ込んで人を虜にすることができるのだ!」
 激しく失礼な人だな。っていうかそんな物騒なもの、もらっても困る。どう使えって言うの?
「……いらない」
「下等な魔物共を手なずけたところで真価は分からんからな。四天王にでも試してその効果を報告するのだ。良い結果を期待しているぞ!」
 って何そのまま立ち去ろうとしてるの! 慌てて白衣の裾を掴むとルゲイエがのけ反る。いらないって言ってるのに完全無視だよ。ていうかわたしはともかく四天王まで軽く見られすぎじゃないの……? 実験材料扱いですか。
「わたしイヤだよ。ルゲイエが自分でやればいいじゃんか」
「ばかもの! 研究なかばで命を捨てるわけにはいかんのだ!」
「わたしなら死んでもいいわけ!?」
「お前なら例えゴルベーザ様で試しても殺されはすまい。断ることは許さんぞ、ではな!」
 生白い腕がわたしの拘束を振り払って去っていく。うー、逃げられた……。殺されはしないって、そんな確信どこからくるのかな。ゴルベーザがかばってくれたとしても四天王を騙して無事に済むとは思えないよ……。特にスカルミリョーネ。

 じっと手の中のものを見つめてみる。
「でも……なんかこう……ちょっと面白そうって思っちゃうのが」
 人間だもの、ね。さて……どうしようかな?



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