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尻尾


「浦島太郎ごっこだね」
 オレの背中にまたがりながらサヤがつぶやく。なんだそりゃ、という疑問がわいたが無視だ。どうせろくでもないことに決まってる。つうか足をプラプラさせんな、顔に当たる。
「……いじめられてた亀を助けると、竜宮城に連れて行ってもらえるんだ」
 こっちの思惑を知ってか知らずか勝手に説明しはじめた。やっぱりろくな話じゃねえ。亀から離れろと何度言っても聞きやしないな、こいつは。
「でもそこで楽しく過ごして帰ってきたら、元の世界では長い時間が経ってて、知ってる人はみんな死んじゃってたって話」
「悲劇じゃねえか」
「うーん」
 何を考えてんだか、ぱたりと背中から倒れ込んで唸る。どうでもいいがいつまで乗ってる気だよ……。オレの上で転がるのはやめろ。
「もしも……」
 神妙な声で何かを言いかけて言葉を詰まらせる。まあ、大体は想像つくけどな。
「先のことなんか考えたって何にも分かりゃしねーよ」
 ここでどう過ごそうが、元の世界に帰っちまえばそれで終わりだ。向こうでのこいつの人生なんぞオレたちには関係ない。過去も未来も必要ねえな。あるのは今だけだろ。
「……カイナッツォを助けたら、どこに連れてってもらえるの?」
「いま外に連れ出してやってんだろ……助けられた覚えはないけどな」
「……つまんない」
「お前なぁ……」
 こっちは忙しい合間を縫って相手してやってんだぞ、それをつまらないだと。調子に乗るなよクソガキが。っと口に出すわけにはいかないが。下手な態度をとったらあることないこと言い付けられてスカルミリョーネの二の舞だ。

「ああ亀様……あなたはどうして亀なの?」
「だから亀じゃね……っどわわわわ!? てめっ、どこ触ってんだ!」
「うべっ」
 柔らかいものが尾を撫でた、その感覚に身震いして思わず背中から振り落とす。顔面から地面に激突したサヤが非難がましくオレを睨んだ。阿呆が、睨みたいのはこっちだ!
「いきなり動かないでよ〜」
「お前がとんでもないことするからだろうがッ!」
「……?」
 わけが分からないと言いたげにサヤがオレの顔と尾を見比べる。そして突然にんまりと笑った。うっ、すげえ嫌な予感がする。逃げてえ。
「ふぅん、カイナッツォは尻尾が弱点だったんだねぇ」
 やたら嬉しそうな顔で起き上がると見たことのない速さでオレの背後にまわった。こんなときだけ機敏に動くな!
「うおっ、ちょ、ちょっと待て! 触るな、っやめろ馬鹿!!」
「えへ〜そんなに動揺してるの初めて見ちゃった〜」

 振り払おうとしてもサヤの手は尾から離れない。それどころか握りしめたままもう片方の手の平で撫でる摩る指でつつくとやりたい放題。こいつ、絶対なんか勘違いしてやがる。弱点だと? そりゃ確かにそうだがお前が思ってる意味じゃねえよ!
「だああっ! もうキレた。もう絶対許さねえ!」
「えっ? うわちょ、待って水集めなぐぼォォォォ……」
 死なない程度に津波を起こして、やっとの思いでしがみつく体を引きはがした。くそ、どうしてやろうか。二度とこんな真似できなくしてやらなきゃ気が済まん。もろに水を食らって倒れ込んだサヤにのしかかる。オレの腕の間で全身ずぶ濡れになって咳込んだ。

「おい、こら」
「げほっ、かはっ……うう、そんなに怒らなくたっ……んん? むぅぅ!」
 抗議の言葉を遮るように舌を捩込んだ。歯茎の裏をなぞりサヤの舌に絡ませると手足をばたつかせて抵抗しはじめる。どうせ非力なこいつには覆いかぶさった体を押し返せもしない。
「んむ……っはぁ! なななにすんの!?」
「この体勢でナニすると思ってんだよ、あァ?」
「ま、待ってよ、そんなに怒ってるの? ごめ、んっ!」
「謝っても遅い」
 濡れた服をたくしあげ、あらわになった胸に吸い付く。水に濡れて冷えた乳首は固くなっている。それを口に含んで舌を尖らせ転がすように舐めた。空いた手をサヤの下半身に滑らせ下着の中に突っ込む。遠慮なんかする気はない。浅く指を挿入して、わざと音をたてるように掻き回す。

「やっ、あんッ! だ、め……こ、ぁう、こんなとこ、でぇ……っは、あぁっ」
「んあ?」
「そ、外なんっ、だよ? ふっ、あぁっ……しかも、ひぁ、昼間、なのにぃっ」
 ……待て。普通それより先に心配すべきことと突っ込むべきことがあるだろ。
「実は期待してたんじゃねえのか? 濡れてるぞ、こっち」
「やぁ、んっ! それは、カイナッツォがっ!」
「オレがなんだよ」
「へ、変なこと、あっ……んんぅ、するから……っ」
「何言ってやがる。お前がやったのと同じことしてるだけだろうが」
「わ、わたしが……ひゃうッ……んんっ、同じ……えっ、でも、んぅ……あぁっ!? そん……な、そうなの!? うわあっ、ごめん! ごめんなさいぃぃ!!」
 ようやく気づいたか、阿呆。事の重大さにサヤは顔どころか胸元まで真っ赤に染めて、両手で顔を隠して悶えている。……なんだよこいつ、ちょっと可愛いんじゃねえのか?

「おい、足開け」
「やっ、だめぇ」
「ひ、ら、け」
「うう……」
 膝の裏を掴んで思いっきり開かせる。さしたる抵抗はなかった。おいおい、諦めるの早過ぎんだろ。水よりも粘着力のある濁った液体でぬらぬらと光っている。顔を近づけてなめ回すとサヤの息がどんどん荒くなってくる。
「ああぅんっ……ッんん、やぁ、そこ、はッ……あぁっ」
 舌全体を使って撫でる。突起を突いてこね回す。中まで舌を入れてうねらせる。もう何をしても抗わずに腰を蠢かすだけだ。いやいや、これはいかんだろ。いくらオレでも心配になるぞ。
 顔を離して代わりにまた指を差し込む。襞をなぞる動きに合わせて白い腰がびくびくと跳ねた。
「お前な。もうちょっと抵抗とかしろよ、こんなのが初めてでいいのかよ?」
「カ、カイナッツォにだけは、言われたくないよっ! ぁふ、保護者の、くせにっ……襲っ、そっちでしょ!」
「まあそりゃ尤もなんだけどよ。なんだお前、気持ち良くて抵抗できないのか」
「う、んっ……」
 だから、なんでそんなに素直なんだよ! あーくそっ、抑えが効かなくなった。どうしてくれんだ。
「だったら最後までするからな。いいんだな?」
「……ぅん」

 ……なんで許可を求めてんだ、オレ。最初の目的を忘れてたぜ。あーあーあーもういいか、めんどくせえ。今はこの体を楽しむ方が先だ。すでに尾から器官を露出させて万事整っている。
「とはいえ……こりゃどう考えても無理だよな。……人間にでも化けてやろうか?」
「んっ! なっ、にそれ……やだっ!」
「やだっ、つってもよぉ」
 中を掻き回す指は三本まで増えている。それでもすでにきつく締め付けてくる。……入るわけがねえ!
「アッ、はぁっ、んん……ほ、ほかの、姿っなんて、ぜっ……やだっ、から、ね!」
「……いや、無理だって、マジに」
「あ、んっ! おねがいっ……はや、くぅ! 痛くても、いっ……からっ」
 ぐぐぐ……。なんなんだよこいつは。なんでもかんでも受け入れすぎだろ! どうなっても知らんぞ。
「……力抜いてろよ」
 再びサヤに覆いかぶさり、指を引き抜いた箇所に反らせた尾の先をあてる。これが誰かにバレたらオレは確実に死ぬな……。なんで人間の女を抱くのに命を懸けなきゃならないんだ。
 目下ではサヤが胸を激しく上下させて息を整えようと必死になっている。……まあ、悪くは、ねえがな。
 逡巡してられるか。あとのことはあとで考える。先端を強引に潜り込ませて、一気に捩込んだ。

「んぐっ! ヒッ、ぐうううッ!!」
「くうッ……お、い、力抜け、って」
 唐突な侵略に内壁が引き攣るように震えたあと、すごい勢いで収縮する。っつうか、抜けねえし進めもしねえ。組み敷いた体が痛みから逃げようともがく度にオレの形に合わせるように中がうねる。このままだとまずい。かなりまずい。
「待て、動くなッ! も、もたねえ、って」
「ぅ、ぐっ……ッ!」
 オレ以上に余裕のないサヤは声すら出ないらしく、ただただ首を振る。そんな涙目で見るんじゃねえよ、だから無理だって言ったろーが!
「とにかく一回、抜い……こら、しがみつくな」
「い……たぃ……」
「んなこたやる前から分かってんだよ!」
「う、ぅ……ぃ、っ、で……」
「ああ?」
「う、ご、か、な、い、でっ!」
「……お前、オレに死ねと?」
 生殺しどころじゃねえんだぞ。抗議しようにも奴は周りの音も聞こえないようで、必死の形相で痛みを堪えている。マジかよ、いつまで膠着してる気だ。

「……なあ、とりあえず一回イかせろ。そのほうがお前も楽になる」
「……ほんと? ……んあぅ! ヤッ、むり……これいじょ、おぉき……しな、でッ」
 仕方ねえだろうが、お前がそんなエロい顔するから反応しちまったんだよ。ぴったりくっついて離れない体を無理矢理引きはがして腕を抑える。そして一気に、引き抜いた。
「ッんんぅ」
「う、あぁっ!」
「っはぁ、はぁ、……んで、抜いちゃう、の……」
「お前なっ……」
 あんな状態でできるかよ。ああ、すげえ、どっと疲れた。サヤは息を乱したままじっとオレを見つめていた。
「……ごめん、ね」
「はぁっ? なんでお前が謝るんだよ」
 だって元はわたしのせいだし……と照れながらつぶやく。こいつ、本当に何なんだ。ありえねえ……。
「……口でする?」
「ぶっ!! あ、あのな。お前もうちょっと……だからその……くっ、次の機会に頼むわ」
 次の機会、という言葉で妙に嬉しそうな顔をする。なんだその笑顔。ドツボにはまってんのはサヤなのか、それともオレか? ……二人ではまるなら、それもいいかもな……。

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