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風→土

「……何の用だ?」
「別に、用なんてないわよ」
 することがないから適当にうろついてるだけ。……あんたに会いに来たんじゃないわ。
「……用がないなら去ったらどうだ」
「何よ。あんただって何もしてないじゃない」
 お前と話してるぐらいならただ考え事でもしていた方がマシだ、って。口に出してもいないのに、滲み出た空気で分かってしまう。

「あんたなんて、大っ嫌いよ!」
「……何をいきなり」
 まず見た目が嫌いだわ。つぎはぎだらけでみっともない。寄せ集めの半端者。近寄るとあたしにまで死臭が移るのも嫌いだわ。しばらくの間ずっと匂い続けるもの。纏わりつかれてるみたいで苛立つのよ。
 腐りかけの体も嫌い。ちょっと触れる度に気を遣わないと崩れ落ちそうで怖いから。
「心の底から大嫌い」
 何より嫌なのは、返事もしないその態度よ。卑屈になるのも程々にしなさいよ。少しは言い返したらどうなの? 同じ四天王のくせに……勝手に言ってろって雰囲気に腹が立つわ!
「……そんなに嫌なら私なんかに近寄らなければよかろう」
 ほら出た。それよ、一番嫌いなところ。何かにつけて、私なんか、どうせ私は、……卑下しすぎなのよ。あんたを四天王に選んだのはゴルベーザ様なのに。それが侮辱に繋がるとどうして分からないの。あんたが自嘲する度にあたしの格まで下がるのよ。
「誰にも相手してもらえないだろうから仕方なく来てやってるの」
「カイナッツォのようなことを言うのだな」
 何よそれ、最大級の侮辱だわ。……あたしがあいつを嫌いだと知ってて比較する性格の悪さも大嫌い。

「……まだいるのか?」
「居ちゃ悪い?」
「読みたい本があるのだが」
「読めばいいでしょ」
 あたしはあたしで勝手に眺めてるから。
「……よく分からん奴だな」
 いいのよ分かんなくて。ちょっと離れて黙って眺めてるだけなら、そんなに嫌いじゃないから、それだけだから。

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