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ポロ→土

 いつかわたし達が殺したあの魔物。今も誰のためにか留まって、けれど誰かと関わりを持とうとせず。ろくに会話もしない、口を開けば皮肉や厭味ばかり。それでもパロムのことは少しだけ恐れてるようだった。……わたしのことは歯牙にもかけないくせに!
 親愛なるわたしの片割れ。パロムは昔から炎の魔法が得意だった。悪戯にピッタリとか言って一番にファイアを習得し、長老の服を燃やしたり髪を燃やしたり。そんな悪事が今、こんな形で役立つなんて。だったらわたしも黒魔法を学べばよかったわ。
 そして偉大なる白魔道士、美しい女性。さすがはセシルさんの選ぶお方というか、あのスカルミリョーネでさえどうやら一目置いていて。ローザ、と……名前だって呼ぶし。
 同等になりたいなんて身の程知らずなことは考えないけど、わたしだってせめて普通に話をするくらい、と思うから。

「彼の弱点を知りませんか?」
 聖女のように微笑んであの方は答えた。
「人見知りが激しくて気が短いところかしら」
 それは弱点ではなくて欠点です。一時とは言え彼と過ごしたローザ様なら、わたしの知らないことを知っているはず。頼りたいんです。頼るしか、ないんです。
「もっと、ここを突かれると弱いというような……属性の話ではなくて、です」
「そうねぇ」
 そっと指先を頬にあてる、そんな仕種さえもが人の目をひく。ずば抜けた何かがなければダメなのかしら。わたしに何があるのかしら。
「忌み嫌われることに慣れているから、真っ直ぐな好意には弱いみたい」
 ……そんなのって悲しいな。でもきっと、わたしが求めていた答えはこれだわ。逸るのは体か心か、弾むように駆けた。

「スカルミリョーネ、あなたに言いたいことがありますの」
「……何用だ、白魔道士」
「ポロムですわ。……わたし、あなたが好きです」
 言った瞬間、自分でも首を傾げた。こういう話だったかしら。
「脳が沸いたのか? 何を馬鹿なことを」
 そうね、そう思います。おかしいわ。どこで間違えたのかしら。ううん、最初から間違っていたのね。
「……ありがとう」
「えっ?」
 どこからやり直すか考え込もうとした矢先、呟かれた言葉はあまりに小さくて聞こえなかった。
「何も言っていない」
 わたし達の間にはまだ何も無い。愛情も友情も、憎しみさえも。だけどいつかきっと……できればでいいから。
「ちゃんと受け止めてね」
 馬鹿なことと自分でも思う。だけどあなたの存在が嬉しい。その気持ちは本当ですから。

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