つくりもの


 お風呂上がり、ふと思ったんだけどゴルベーザっていくつなんだろう。まさか同じくらいの年頃ってことはないだろうし……少なくとも20歳はこえてるよね。
 ネットで調べればすぐ分かると思う。でもわたしはそうしなかった。なぜだかそうしてはいけない気がした。ゴルベーザに、検索すればすぐに彼のすべてが分かるという事実を、その意味を、理解してほしくなかった。
 自分のいた世界や、自分自身さえも作り物だと知ったらどう思うだろう。その未来があらかじめ定められたものだと知ったら。それに、こっちの“ファイナルファンタジー”とゴルベーザのいた世界が本当に同じものかどうか分からないんだし、余計な疑問を与えたくなかった。
 ……べつに知らなくても困らないよね。変に口出しして自分の借りてる体が若い女の子のものだって思い出したら厄介だし。大事ないとこの体に妙な興味を抱かれたらイヤだ。だから、黙っててもいいんだ……。
「私も風呂に入ってくる」
「……うん」
 タオルを肩に引っかけて鼻歌なんかうたいながら歩いてく後ろ姿を見てて、やっぱりちょっと不安だった。とっくに成人してるであろう男の人が、年頃の女の子の体に入っちゃってるの、問題あると思うんだけどなあ。




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