成人式


「成人式か……」
「こっちにもそういう風習あるの?」
「ああ。内容は国によって様々だが」
「モンスター退治とか多そうだね」
「国や町が発達する前はそうだったようだが、今は魔物退治は国の仕事だな」
「じゃあ成人式はやっぱり形だけのもの?」
「そうだ。おそらくはユカリの世界とそう変わらぬだろう」
「そんなもんか〜」
「伯父に聞いたが、月の民にも放浪の最中に生まれた儀式があるらしいぞ」
「……なんか不穏そう」
「単身で地下渓谷を越え、幻獣神の洞窟に辿り着き、ベヒーモスの鬣を一本取ってくるという」
「死ぬよね!!」
「死傷者が多く種が滅びかけたため廃れたそうだ」
「ばかなの? 月の民ってばかなの?」
「後世には人口増加祈願と合わさり、ベヒーモスのぬいぐるみを作ってその年に生まれた子供たちに贈る、というものになったようだ」
「急にほのぼのしすぎだよ……」
「ユカリはどんな成人式を迎えたんだ?」
「や、わたしのとこは二十歳で成人だからまだなの」
「そうなのか……先は長いのだな」
「まーね。ゴルベーザがロリコン脱却できるのもまだ先だね」
「!?」
「大人になるのは大変だね〜」
(……儀式をしていない私は未だ大人ではないのだろうか。今からでもベヒーモスに挑むか?)
(あの月の民の儀式ってゼムスもやったのかなー。変なの)




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