れんあいリップ


 ニーベ・ケジャーの魅力にあてられ、前線に立っていたモカが操られてしまった。支柱とも言うべき彼女が敵として立ちはだかる。仲間達は混乱していた。
「よりによってモカが操られるなんて……」
「ああいうのが好みだったノ?」
「いや、そういうこっちゃない
だろ」
 呑気な三人に反して、先程から鋭い視線を一身に受けるジャスミンは慌てふためいた。今は夜、モカの能力は高まっている。
「わああこっち見ないでよう!」
「完全に目がイッてるナ〜」
「ポモドーロが相手ならよかったんだけど」
「どういう意味だよシュガー!」
「もうっ、正気に戻ってよ〜! 戦うしかないの……!?」
 パーティ随一の火力を誇る彼女が本気で殺意をぶつけて来れば、双方ともに無事では済まない。いよいよポモドーロとチャイが魔法を放つ準備に入ったとき、カフェラテが迷いを振り切り歩み出た。
 もはや標的としか映らない友人達を一瞥し、モカの視線がカフェラテに据えられる。
「仲間同士デ戦エルカヨ。モカノ攻撃ハ、オレガ受ケ止メル! ミンナ、サガッテナ」
 立ち塞がった大きな体を敵と判断し、モカが攻撃体勢に入る。
「カフェラテ!」
「目ガ覚メルマデ、待ッテヤレバ、イインダロ?」
「お前、漢だなあ!」
「これが愛なのナ」
 各々感動的にカフェラテを見つめた。それをも意に介さず、モカが跳躍する。
 一挙に距離をつめ、全身に漲る力をただ一点に集めて、得意の蹴りが放たれる瞬間――それを見据える機械の目が、赤く光った!

【●REC】

「って撮るなあ〜ッ!!」




「モカ、消しといたから安心してね」
「ありがとうシュガー。でも何を?」
「気にしなくていいのよ、感動した私がバカだったわ」
「ふーん。……カフェラテはなんで伸びてるの?」
「気にしなくていいのよ」




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