ギグさまご帰還


「よぉダメット。相っ変わらずとぼけたツラしてやがんな」
「……誰ですか?」
「なっ……誰ってなぁ! 声で分かんだろ!?」
「会ったこともない人間の声など知りません」
「てめ……つーかお前、この姿見たことあんじゃねーか!」
「……ん? ……あっ、あっ……お前!」
「やっと思い出したかよ」
「思い出せません」
「殺すぞ」
「冗談です。中のお前、生きていたのですね」
「ったりめーよ! オレ様があの程度で死ぬかっつーの!」
「そうですか……生きて……。うぅっ、あいつも、きっと喜びます……」
「けっ。……で? その相棒は、どこにいんだよ?」
「え」
「……なんで目をそらす」
「それは……」
「なんだこの妙に気まずい空気は」
「あいつは、ここにはいません」
「んだよ、出かけてんのかよ。間の悪ぃヤツだな」
「人を探しに行ったのです。もうずっと戻ってきていません」
「人探しだぁ〜? ……クックック、なるほどな」
「気持ち悪い笑い方をしてどうしたのですか」
「気持ち悪いは余計だ。……健気じゃねぇか。そんなにオレ様に会いたかったってか?」
「いえ、お前ではありません」
「……ああ?」
「レビンを探しに行ったのです」
「なにぃ!?」
「お前がいなくなって、召喚ができないので」
「…………」
「でも生きていることは分かったから探したい、と言って……」
「…………オレは?」
「お前のことは、特に何も言っていませんでした」
「………………」
「……哀れです」
「くっ……いーい度胸じゃねぇか……絶対探し出してぶっ殺す!!」
「男は諦めが肝心です」
「るっせぇ! そんな哀れみの目で見るな! 見せもんじゃねぇぞコラ!!」
「慌てずとも、そのうち帰ってきます。……レビンと」
「……くっそぉぉぉぉ!!」




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