風は土をえぐり、土は水を塞き止め、水は炎を消し去り、炎は木を焼きつくして、木は風に揺れ歌う。物事はみんないろいろな方向へ流れて作用して、いつも動き続けている。
 何か一つだけが悪いことなんてないし、誰か一人だけが正しいなんてこともない。世界はただあるようにあるだけ。……誰に教えられたんだっけ?
 校長先生? マドレーヌ先生? ここに来る前に出会った人だったかもしれない。
 わたしは、まだ小さくて無力な子供だ。言われたことの本当の意味だってきっと分かってなんかいない。でも、在るように在る……その大切さは少しだけ理解してると思う。

 マザーコンピューターを調べて以来カフェラテはなんとなく無駄に元気だった。みんなあれの意味をどう解釈したのか、話し合わないからお互いに何を考えてるのか分かってない。たぶんみんな同じ、考えたくないんだ。
 まだ確証じゃない。僅かな光に縋りついて目の前に迫る事実に背を向けようとしてる。わたしはどうだろうと考えたとき、案外あっさり答えは見つかった。
 べつにいいじゃない?
 そうだ、ロボットの動力源が何であろうと、みんな何かを食べて生きてるんだ。カフェラテだって同じ。うん。同じだということを喜んでもいいくらいだよ。だけど問題があった。
 ありのままの事実にカフェラテはきっと傷つくということ。そしてわたしたちは、カフェラテが傷つくのは嫌だってこと。

 誰も犠牲になったわけじゃない。命のやりとりでさえ世界には重要なことじゃないんだよ。光がさせば後ろに闇ができるって、ただそれだけのこと。でも無意味な現象に意味を見出だすのはわたしたちの心だ。心を捨てることができない限り、傷つくのも避けられない。
 わたしは闇を知ってる。それが特別怖いものではないって分かってる。でも心はその数だけいろんなものに意味を与えるから、闇は堕ちていくものだと感じるひとも、いる。
 カフェラテの中にある闇がもうすぐ暴かれる。わたしはカフェラテの恐怖を取り除いてあげる方法を知らない。じゃあどうすればいい? わたしには怖くないものでも彼にとってそうじゃないなら、分かり合うのは不可能だ。
 だから……もしも、自分の中にあるものが怖いと、嫌だと、カフェラテが言ったら……わたしは。

――この星空がある限り

 わたしは平気だって言おう。カフェラテがどういう存在でも構わない。君に闇があるならわたしはそれも好きだって、言おう。暗くて深い闇がわたしの中にもある。その苦しみごとわたしが包んであげるから。

――永遠の愛を

 クールぶって意外と余裕なんてないくせに、いつも必死に守ってくれる。どう言葉にあらわせばいいのか分からないけどわたしはぶつけられた想いが嬉しいんだよ。だからわたしにも守らせてほしい。
 何が起きても君は悪くない。この星空があるかぎり、わたしはありのままの君を受け入れる。




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