選別の理由


 そもそもの話、どうしてマコトが選ばれたのか? 異世界になんて縁のないごく普通の女子高生がなぜこんなことに巻き込まれたのか? 従姉妹と同じ顔した自称ゴルベーザに尋ねてみれば、返ってきたのは簡潔な答え。
「波長が合ったのだろう」
 なにそれ意味わかんない。
「ゴルベーザから変な電波とか出てて、マコトのとチャンネルが合ったから入れ替わっちゃった、とか?」
「変なという部分には訂正を入れるが、おおよそはそんなところだ」
 だけどやっぱり納得できない。今でこそ中身がゴルベーザだからこんな勿体振ったおっさん臭いしゃべり方してるけど彼女は本当に、電波系だとか天然ちゃんだとかナントカ星からきたとかいう不審な事情のない普通の常識的な女の子だったのに。
 仮に異世界からの電波が届いても、あの子と周波数が合うなんて信じられない。
「わたしならよかったのに」
 ゲームに興味のない彼女と違ってファイナルファンタジーのストーリーもある程度は分かってるし、いきなりゴルベーザの体に閉じ込められても何も知らない人ほどは混乱しないと思う。規定のチャートに沿って進めればいいんだから。
 ゴルベーザのストーリー……。一筋縄ではいかないだろうそれの内容を考えるたびまた不安になる。マコト、困ってるよね。きっといろんなことに傷つくだろうな。わたしは何の助けにもなれないんだ。
 黙ってしまったわたしに、ゴルベーザが慰めるような顔で笑いかけた。でもこれは違うひと。今は遠い従姉妹が“大丈夫”って言ってくれたわけじゃない。……今頃どうしてるんだろう。
「ユカリはあちらに興味があるのか」
「そういうわけじゃないけど……」
 すぐそばにいたのに、どうしてわたしじゃなかったんだろう。それが気になってるだけだ。波長が合うの合わないのという話が本当なら、ただの偶然、彼女の運が悪かっただけってことになる。でも納得できない、したくない。
「心配だなあ……」
 この悩み事の仕掛人でもあるゴルベーザは心底困った顔をして、それはわたしの従姉妹の顔だから、やっぱりまた胸がしめつけられるんだ。




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