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ジョブアビリティ

 必殺技編み出したから一緒に召喚して! ……って、サヤとギルガメッシュに頼まれた。チャージ中に何やってんだろうなー、あいつら。
 ちなみにオレとバッツを選んだ理由は「特に意味のないことでも軽いノリでやってくれそうだから」だそうだ。……君の中でオレってそういうキャラですか? ま、いいけどさ。

 そんなわけで、やたら楽しみにしてるバッツと二人してイミテーション討伐に来た。チャージも完了して手頃な雑魚も見つけて準備は万端だ。
「よーし、行くぞジタン!」
「はいはい、っと」
 オレ達の姿を見て走り寄って来るイミテーションに、バッツと同時に召喚石を掲げる。途端にぐわっと炎が広がって、中からサヤを抱えたギルガメッシュが飛び出して来た。なんだなんだ、やけに凝った演出だな!
「我が名はギルガメッシュ! 胸の内から沸き上がる炎は……」
 構え、一気に距離を詰めたギルガメッシュの背後に立つサヤが詠唱を始める。刀が振り下ろされると同時に魔法が完成し、刀身に絡みつくように巻き上がった炎がイミテーションの身体を燃やした。
「……烈火の如し!!」
 斬られた傷の端から豪快に噴いた火が花のように咲き誇り、断末魔もあげずにイミテーションは霧散する。
「って一撃かよ!?」
 オレの出番ないじゃん。普段それをやってくれればすごーく有り難いんだけどなあ。

「さすが俺様だな。惚れ惚れするぜ」
「やっぱあのアホっぽいセリフ、わたしが言わなくてよかった」
「お前アホっぽいとか思うセリフを俺に言わせてんのか!?」
「大丈夫かっこよかったかっこよかった」
 投げやりな励ましにうやむや納得して、次は刀でやろうぜなんて言っている。仲いいなぁこいつら。
 っていうか、もっとふざけた技を想像してたんだが。意外にまともな上に、確かにカッコよかった……気もする。あれっ? ちょっと羨ましいかもしれない。要は攻撃する時にサヤが演出してくれるってことだろう?

「ん? ……バッツ?」
 そういえば一緒にいたはずだよな、あいつ。珍しく静かだから存在を忘れてた。突っ立ったままで俯いて黙りこくってる。いつものバッツらしからぬ態度に、サヤ達も不審そうにこっちを見ていた。
「羨ましい」
「えっ?」
「いいなあ、お前ら。おれも合体技とかやってみたいよ!」
 こういう派手なの好きだな、バッツ……。でもそうだな、サヤとならアリかも。オレとしてはできれば白魔道士でやってほしいけど。
「じゃあ次はバッツと必殺技作ろうか」
「お、ホントか? どうせなら踊り子二人でやろうぜ!」
 ……踊り子好きだなぁバッツ。オレは女の子の踊り子の方がいいなあ。正直お前のはお笑い寄りで、カッコイイとは言い難いぜ。って言ってやった方がいいのか?
「せっかくだからギルガメッシュも混ざろうよ」
「はっ!? いや、俺は遠慮する」
「なんでだよ、お前だって赤いのに」
「関係ねーだろ!」
 嫌だそんなむさ苦しい踊り子集団。オレは嫌だぞ。断固として。
「ってかそもそもギルガメッシュはジョブ何なの?」
「え、侍じゃないのか」
「へー。オレはシーフだと思ってた」
「でも青魔法使うよね。時魔法も」
「もしかしてすっぴんなのか!」
「なんでそこで親近感。お前ものまね士だろ」
「……いやお前ら盛り上がってるとこ悪いが、モンスターにジョブとかないからな?」
 やば、今オレ普通に馴染んじゃってた。サヤはもとより、なんかギルガメッシュにも懐かしさを感じるんだよなー。バッツと同じ世界から来たなら、オレとは面識ないはずなんだけど。

 二人で魔法剣。三人で踊り子同盟。……スコールも誘って五人にしちゃおっかな。
 召喚獣ってのは仲間と違って敵ともまた違って、何者かと言うより協力してくれる「何物か」だと思ってたけど。こいつら見てると、召喚獣にもちゃんと生活があって馬鹿なことしたり喜んだりしてるんだなって分かる。
 何より、サヤ達はこの世界を楽しんでるみたいだ。能天気っちゃ身も蓋も無いか? いや、本気で羨ましい。
「な、シーフにはチェンジできる?」
「できますとも! ……さてはジタン、アレだね」
「実はずっと狙ってました」
「おぬしもワルよのう。わたしも欲しかったんだー」
「ええー、何だよお前ら、シーフならおれも持ってるぞ!」
 そこはかとない団結を見せる盗賊三人に、ギルガメッシュがあらぬ方を見つめて「なんかすげえ嫌な予感がする」とか呟いた。
 オレは特に装備品マニアってわけじゃないけど、盗賊としちゃ珍しいものはこの手に収めてみたくなるんだ。今までは召喚しても一瞬で還ってたから隙がなかった。
「源氏装備……」
「皆で盗れば」
「怖くない!」
「俺が怖いわ!!」
 三人もいれば誰かは成功するだろう。盗めば盗むほど強くなるのがオレ! 次にサヤと出てきた時が命日だぜ、ギルガメッシュ。
「あー俺しばらくエクスデス様の専属になるから、うん」
「じゃあオレはサヤセットして道場に行こーっと」
「いつもありがとうな、ギルガメッシュ」
「くそうっ、最後の最後まで盗みやがって馬鹿バッツ──!」
 もっと馴染んでもいいよな。なんだか分かんないけど、召喚獣って大事にすべきものだ……って気がするんだ。
 ん? 大事にしてない? いやいや、これは親愛の表現だって。

「よし。サヤ、ジタン、各自とうぞくのこて装備で集合だぞ」
「「はい、バッツ隊長!」」
「エンキドゥよ……なぜ俺を置いて行っちまったんだ……」

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