ふがいない



『恋人に自分の気持ちを伝えていますか?』



朝の定番番組の占いコーナー。

いつもは聞き流している堺だが、何故かその一言が頭を離れなかった。


口にくわえたままの歯ブラシがズルリと落ちそうになった。





俺の恋人?


……丹波聡。


男だけど。


告白?


丹波から。




あれ?


俺って、


丹波に「好き」って言ったことあるのか?




………ないかも。








「さーかーいー?」


ハッとすると、目の前には視界いっぱいの丹波の顔。


「ぅわっ!な、何だよ」


思わずビクリと後ずさると、丹波が不機嫌そうに頬っぺたをプクーと膨らませた。


「何だよって、こっちが聞きたいっての。人ん家に来といてボーッとしやがって」


「……お前が連れて来たんだろ」


「まぁそうだけど…。あーもーいいや、何でも」


正面からギュッと抱き着かれて首筋に鼻を擦り付けられる。


たまに「さかいー」と小声で呟いて、その吐息が首に当たってくすぐったい。


こういうのは甘えられているみたいで嫌いじゃない。


ちょっと幸せで、31歳のオッサンが同い年のオッサンに対して「好き」だなんて思ってしまう。


斜め下を見ると、ちょっと吊り目がちな丹波の大きい目と視線がかち会う。


丹波はニッと悪戯っぽく笑って啄むだけのキスを一つ落とした。


「堺、好き」


耳元で甘く囁かれて思考がトロリと溶けそうになる。





俺も、好き。





って言わなきゃ伝わらないのに。


本当は凄く凄く言いたいけど、羞恥心とか意味の分からないプライドだとかが邪魔をする。


与えられるばかりで、俺は丹波に何もしてやれてないんじゃないかと、


分かってる。


思ってるだけじゃ伝わらないなんて、知ってる。


だからさ、


俺、


丹波のこと、









丹波の腕の中で向かい合うように座って、また堺は固まってしまう。


口は一文字に結ばれているが、その手は丹波のシャツをギュッと握って、その瞳は何か言いたそうに丹波をジッと見つめている。


丹波は困った顔をして、人差し指で頬っぺたを引っかいた。


「あのさー堺。お前って何でそんなに可愛いの?」


好きだよ

そう言って丹波はまた堺の唇を塞いだ。






ああ、クソ。


どうしてこう上手く言えないんだ。












なにこのバカップル……
堺さんって自分から好きとか言わなそう!ていうか言えなくてモヤモヤしててほしい!っていう妄想
第三者視点になったり堺視点になったりで無駄に読みずらくてすみません……
自分で読み返して、うっわ読みずれぇwwwと思いました
ひぇータンさん好きです(謎


過去拍手文でした

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