右も左も
「今日の練習なんだけどさー…なんかお前らやりたいことある?」
メンバーを集めておいてこの発言。
炎天下でただでさえやる気が削がれているのに監督がこれでは全くもって締まらない。
ふえーっとした達海の横にはいたたまれない表情のコーチ陣。
おい…
なんか言えよ…
え、やだよお前が言えよ
的な空気が流れはじめた瞬間、勢いよく誰かの手が上がった。
「紅白戦ヤリたいっす!」
ちょっと低い位置から声が上がる。
世良だ。
「紅白戦かぁ、他には?」
達海がぐるっと周りを見るがイマイチ反応がない。
「じゃあ紅白戦やるけど、いい?」
全員頷くと、またしても声が上がった。
「俺と堺さんは別のチームがいいっす!」
また世良か。
意味深な発言に全員が、特に堺と丹波が怪訝な顔をした。
「どうしてっすか」
世良の隣にいた赤崎が口を挟む。
「え、だって俺がすっげープレーしたら、何かの間違いで明日から俺と堺さんが付き合うことになるかもしんないだろ。あとファウルしたいから」
「狙いは明らかに後者っすね」
赤崎が汚いものを見るような目で世良を見た。
が、内心自分もジーノと別のチームにしてもらいたいと思った。
(すみません王子!)
(もう、悪い子だねザッキー。お仕置きはベッドでだよ?)
(あっそんな、王子っ!)
いい…
と赤崎は一人で赤面した。
「おい世良、あんまふざけてっと堺さんキレるぞ」
後ろからコソッと清川が言及する。
ハッとして前方を見ると、般若の様な顔をした堺がこちらを睨んでいた。
「えっ…何これ恋に落ちそう」
ああこいつは病気か
と清川は一人納得した。
「俺は堺と同じチームがいいー」
キリキリと世良を睨みつけていた堺の顔が自分の隣に向く。
「世良なんかほっといて二人で愛のパスを繋ごうぜ。ついでにお前のゴールに先制点を入れたいんだけど」
真顔で気持ち悪いことを言っている丹波の顔に堺の肘が入った。
「えっ、堺さんのゴールってなんすか?」
「椿、お前はそんなこと気にしなくていいんだ」
え?
と椿が村越を見上げると、その可愛らしい様子に村越は目を細めた。
「ちょ、ちょっとタンさん!なんすかそのオウンゴール発言!堺さんのゴールを揺らすのは俺っすよ!」
「いや、お前じゃ無理だぞ世良。お前のシュートじゃ堺は満足しねぇよ」
「むぐっ…でかさで勝てないならテクニックで…!」
再び二人の顔面を堺の正拳が襲った。
なんかもうこの人達サッカーしねぇwww
だんだんザッキーが壊れてきました
いい感じです
気持ち悪いタンセラが好きです
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