酒を飲んだら呑まれるべし


ギャハハハと笑い声が響く。


居酒屋の外に聞こえるんじゃないかという程の大声に、ガチャガチャとうるさい食器の音。


ハイペースで酒が回る。


選手達は既に出来上がっていた。







今日は選手達での忘年会だった。


明日はオフだということで、初っ端から生ビールを大ジョッキで煽る。


いわく酒に強い赤崎なんかは開始30分で既にベロンベロンだ。


「おおぃ赤崎ぃ。てめぇもうギブかよ!」


「はぁ?どこみてんだよこのハゲ。まだまだこれからだっつーのぉ」


茹蛸の様な黒田が赤崎に絡む。

かなり酒臭い。


「椿ぃ!てめーイッキしろイッキ!」


ぐでんぐでんな赤崎に飽きると、黒田の矛先はおとなしく酒を啜っていた椿に向いた。


「ええっ!無理っすよ!」


「ばっかやろー!無理とかやってみなきゃわかんねーだろ!しょっぱいこと言ってないでやれ!」


「うええ!」


黒田の大声に周囲からもイッキコールが起こる。


「ダメだろクロ。イッキは危ないんだぞ」

冷静に杉江が止める。


杉江はさっきからハイペースでビールを煽っている割にはまるで酔っている様子がない。


「んだよースギ。冗談に決まってんだろー」


「はいはい。椿、刺身食うか?」


「あ…俺生魚はちょっと…」


「贅沢言うんじゃないぞ。草でも食ってろ」


「ええええええ」


ん?
と杉江がダークな笑みを向ける。


どうやら酔っているらしい。


椿は余りのショックにプルプルと震えた。





「堺さぁーん」


「なぁに?世良」


世良は片手に空のジョッキを持って丹波にしな垂れかかる。


「俺ぇまじで好きなんすよぉー堺さぁーん。どうして俺じゃダメなんすかぁ」


「そ れ は 俺には丹波がいるからに決まってんだろ」


「そんなぁ…でも俺負けないっすよ…!」


世良は
うっうっと呻きながら丹波に抱き着いた。


「あっ、こら世良っ、どこ触って…やんっ」


「こら止めろお前ら。世良、そいつは堺じゃないぞ」


「え…ドリさん…?え…タンさん…?」


「はぁ…」








「なぁ堀田」


ギャイギャイ騒いでいるメンバーを余所に、一人静かに日本酒を嗜んでいた堀田の隣に石神が座った。


「今季のうちっていいチームだよなぁ」


「はぁ…」


石神は手に持っていたジョッキの中身を一気に飲み干した。









杉江さんにあのセリフを言わせるために書いた一本
ダークな杉江さん大好きです

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