賜り物&捧げ物





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【捧】マツヲ様へ





久々のオフを当然のように城西の家で過ごしている持田。


何処かに出かけるのもいいけど、今日は家でゆっくりしたい。


そう城西に持田が言うと、城西は一言「そうだな」とだけ言って小説を片手にソファーに深く腰掛けた。


あ、しまった。
持田がそう思った時は既に城西は小説の世界に入り込んでいて、目はひたすらに紙の上の文字を追っていた。


確かに家でゆっくりしたいとは言ったけど、こうなってしまうのは想定外だった。


城西は何かに集中すると構ってくれなくなる。


そう思う事自体子供っぽいと思うが、何が楽しくて明るいうちから室内で男二人ダラダラしなくてはならないのだ。


城西はただ持田の言った通りに過ごしているだけなのだが、今はそれが凄く彼の不満になっていた。


雑誌を読む振りをして盗み見た城西の顔は何だか楽しそうで、ますます持田はムッとする。


(小説ってそんなに面白いのか…?)


活字とは全く縁のない持田にとって小説という物は何の面白みの無いものなのだが、城西の様子を見ているともしかしたら自分の食わず嫌い(読まず嫌い?)で、本当は面白いのかもしれないとすら思えてくる。


持田は床に開いた雑誌はそのままにして、本棚から一冊適当に手にとって城西の隣に腰掛けた。


(恋愛小説…?)


映画を見るにしてもアクションやSFを好み持田は、むむ、と首を少し傾げて小説を開いた。


最初の数行を読んで、飽きた。


(…つまんねぇ…!)


何が楽しくてこんな…って言うか恋人が直ぐ隣に、ちょっと手を伸ばせば届く距離にいると言うのに、何故他人の恋愛なんかを覗かなきゃならないんだ!と持田は心の中で叫んで、叫んだついでに読書の妨害宜しく城西の膝にゴロリと頭を乗せた。


細そうに見えて意外としっかりしている腰に腕を回し、下っ腹に頭を擦り付けると、空いていた右手が頭の上に下りてきて、頭を三回撫でてからゆっくりと柔らかい髪を梳いた。


スルスルと髪を撫でていく指先、しかし目は小説に向いたまま。


けれど、先程よりも読み進めていく速度は落ちている。


城西の意識が自分に向いた事に少し気を良くした持田は、そのままゆっくりと目を閉じた。膝から伝わる城西の体温が頭の働きを鈍らせる。


(あーあ…まだこんなに明るいってのに……眠い)


ジンワリと暖かくなる右半身と、髪に触れる指先が気持ちいい。


フワフワとした感覚に包まれながら、持田は深い眠りに堕ちていった。










パチリ、と目を開けると、窓からオレンジの光りが差し込んでいた。


夕暮れ。


随分長いこと眠っていたみたいだ、と上半身を起こすと、頭部が何かにゴツリとぶつかった。


「あて、」


何だよー…と振り返って目を擦ると、目の前には城西の寝顔。


顎に持田の頭がぶつかって、痛みで一瞬眉間にシワが寄ったが、暫くすると再び気持ち良さそうな寝息を立てはじめた。


足元には開いたままの小説がころがっていた。


どうやら読んでいるうちに眠ってしまい、手から落下したようだ。


拾ってやろうかと思って、ソファーから起き上がろうとすると、腹の辺りが何やら重たくて思うように動けない。


よく見るとそこには城西の腕が乗っていた。


持田が眠る寸前まで髪を撫でていた手が、城西の眠気が増すにつれ肩に下り、完全に眠りに堕ちた時には腹にまで下りてきてしまったようだ。


それでも、小説は手放しても自分からは離れなかったことがなんだか少し嬉しくて、持田は小説を拾うのをやめた。


代わりに身体を起こして城西の膝に跨がるように座り、起こさないように軽くキスをした。


額、瞼、鼻、頬そして唇。


優しく、チュッとリップ音を立ててキスをしてゆけば、唇を啄む頃には城西はうっすらと目を開いた。


「む…持田…?」


「おはよ、シロさん」


「何してるんだ…?」


「んー?俺のだーいすきなシロさんチューしてんの」


眠りから目覚めたばかりで上手く頭が働かない城西は暫くボンヤリとしていたが、状況を読み込むとすぐに顔を赤くした。


その様子を見て、持田は満足そうに微笑んだ。


そして耳元に唇を寄せた。




「好きだよ」




オレンジの光りの中に甘い響きがジンワリと染み込む。


二人はそっと抱き合って、キスをした。
(たまにはこんなオフも、いいかな。)


一瞬働いた思考は、すぐに甘い感覚に溶かされていった。











大変長らくお待たせしました!暑苦しくくらいラブいシロモチとのことでしたが……何と言うか、ラブいと言うより甘くなっていまいました…
オフの日にイチャイチャするシロモチを目指して挫折しました(^o^)/
ひいいいすみません!
しかも会話が殆どないって言うあれです。
放置プレイです^^

相互記念にマツヲ様に捧げます!
本当にありがとうございました!!

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