はじめての


「ねぇ、どうしよう。どうしたらいい?」

返事をしてくれるわけがないのに緊張を紛らわすため、彼の猫を抱えてそう話しかけていた。

今日は初めて彼の家に泊まることになっていた。恋人関係になってから数ヶ月、まだキス以上のスキンシップはしたことがない。だからきっと今日はそういう意味で家に誘ってくれたのだと思う。正直私もどこかそれを期待していた。そのために新しい下着も用意したし、さっきお風呂でしっかり体も洗ったというのに今私は怖気付いていた。猫に一人で話しかけてしまうほどに。
そうこうしているとホルマジオがシャワーを終えて部屋に帰ってきて、ソファで猫を抱えていた私の隣に座った。何をしているのかと聞いてくる彼に上手く返事を返せない。もう自分の心臓の音しか聞こえないほどに緊張が高まっていた。必死に猫を抱きしめて緊張を落ち着かせようとする。

「××」

私の名を呼ぶあまりに優しい彼の声に一際大きく心臓が音を立てる。だんだんとこちらに近づいてくる彼の顔を見つめながらどうしようどうしようと思考を巡らせる。

「ま、待って…」

思わず抱えていた猫の手をもうそこまで近付いていた彼の唇に当ててその動きを遮ると少し驚いた顔をして彼の動きが止まった。

「ごめん、その…嫌だとかそんなのじゃなくて…!実は私、まだそういうことした事なくて…心の準備がね、出来てなくて!」

早口で捲し立てているといつまでも同じ姿勢で掴まれたままの猫が不満げに鳴いた。慌てて彼の唇から猫の手を離し、抱え直す。

「だからもう少し待って欲しいの…だめ?」

改めて彼を見つめ直し、そう伝えると彼は大きなため息をつきながらそのまま後ろに倒れ込んだ。

「ホ、ホルマジオ…?」
「あー、今回だけだからな。次はちゃんと覚悟してこいよ…!」

腕で顔を隠した彼からそう言われ、必死に頷く。ごめんね、ありがとう。
申し訳なさから彼の顔を見れずにいた私は気付いていなかった。彼の顔が私以上に赤く染っていることに。



くっそ、可愛すぎるだろうがよォ。
しかもオレが初めてになんのかよ……あー、ぜってぇ大事にする。


オマケ
その後、一緒のベッドに入り先に眠ってしまった夢主に我慢したんだからこれぐらいいいよな?とキスしようと顔を近付けたら一緒にベッドの中にいた猫に引っかかれるホルマジオ。



Twitter 2019.03.30
2019.03.31
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -