再認識


カーテンの隙間から降り注ぐぽかぽかの陽射し、しっかりドルチェまで平らげて満たされたお腹。こうも条件が揃っていると必ずやってくるやつがいる。そう、睡魔だ。
そいつに抗うことを放棄すると自然に引き寄せられていく上下の瞼。そのまま眠りに落ちようとしたが突然の圧迫感に意識が再浮上した。

「……潰れるからせめて摘んで」
「この程度で潰れるか」

人差し指で私の鼻を押さえつけながら笑うイルーゾォをじっと見つめた。

「眠い……」
「おい、寝るな。また夜になって眠れねえってオレ起こして付き合わすだろ」

彼にそう言われても覚醒出来たのは一瞬で、再度襲って来た睡魔にずるずると彼の肩にもたれかかる。ただでさえ勝ち目の薄かった状況に大好きな彼の香りと体温が追加されて無敵となってしまったやつに勝利するのはもはや不可能だった。

「おい」

鼻先に加わっていた圧迫感から開放されたかと思うと次に訪れたのはぐいっと引き伸ばされる感覚。

「……ふふ、そういうところすき」
「はあ?」

呼びかけてくる彼の声すらも子守唄にして私は意識を手放した。
ごめん、イルーゾォ。今日も夜更かし、付き合ってね。



2021.07.01


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