夏よりも冬が好き


「私、夏って嫌いなんだよね」

テレビに向かっていた視線を腕の中の恋人へと向けた。俺の胸に頭を預け、首を反らして下から見上げてきた恋人の口はむっと尖らされていた。突然そんなことを言い出したのは見ていた番組で夏と冬ではどちらが人気かというのが話題に上がっていたからだろう。

「夏はみんながギアッチョを連れていくから」

こいつはそう言うと正面を向き直し、自分の体に回っていた俺の腕に自分の手を添えた。確かに電気代要らずのクーラーだからその気持ちも分かるけどと笑ったこいつに体良くこき使ってくるアイツらの顔が思い浮かんだ。

「でも冬は好き。誰も私からギアッチョを奪っていかないから」

弾むようにそう呟く声に合わせて揺れた頭に顎を乗せた。

「それにみんな知らないんだよね。ギアッチョって体温が高くて暖かいから実は冬もおすすめなんだって」

クーラーにもヒーターにもなるなんて万能ですね、流石ギアッチョさんと茶化すように言うこいつの旋毛を乗せた顎で押さえつければ痛い痛いと悲鳴をあげる。
そもそも体温が高いってのが分かるくらいの距離にいさせてるのはお前ぐらいなんだから、そんなの他の奴が知ってるわけねえだろ。
ギブギブと痛みからの解放を求める声にようやく体重を乗せるのを止めてやると、ふへぇと間抜けな声を出したこいつの顎を掬いあげて唇を落とした。



Twitter 2020.11.17
2020.11.29
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