眠る貴方へ


何か、決定的なことがあった訳ではない。ただこいつと過ごすうちに、自然とそう意識した。このオレが恥を捨ててまで仲間に協力を仰ぎ、納得のいく物を用意した。その協力もあって、これに関しては何も問題ないはずだ。
だがここまで準備を整えたというのに、オレは未だに行動するに至っていない。隣で眠るこいつの顔を見て、一つため息をついた。
ああ、正直に言おう。オレは怖気付いているのだ。オレとはそこまでになりたいわけじゃあないと拒否の言葉を返されるのではないかと。
××がオレに向けてくれる思いに込められたものがどんなものかくらい分かっている。……それでもどうしようもなく不安になるのだ。オレには××しか居なくても、きっとこいつにとってはそうではない。

誰にもとられたくない。オレだけのものにしたい。××だけのオレになりたい。

膝を抱えて埋めていた顔を上げるとベッド横のチェストから"それ"を取り出した。さらに中身をベルベットのケースから取り出すと、××の手を取り、そっとその細い指へ滑らせていく。嫌に速い自分の鼓動だけが頭の中で響いていた。

綺麗な夜景の見えるリストランテでもない、美しい花束もない、気の利いた言葉も、恐らく言えない。
××の指にはめられた指輪にそっと唇を寄せる。この指輪がオレの思いを伝えてくれるだろうか。××をオレの元へ繋ぎ止めてくれるだろうか。……××は、喜んでくれるだろうか。
自分の変化に気付いた時の××の表情を思い浮かべながら、オレは必死でプロポーズの言葉を考えていた。



Twitter 2019.06.19
2019.06.19
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