「拓ちゃん、雪ちゃんっ」 「あー、唯ちゃんだ」 「ここ空いてる?」 「空いてるけど……、一人なの珍しいな、いつも一緒に居る子は?」 「委員会だってー」 「ふーん、塔一郎と一緒だな」 「同じ委員会かなぁ」 「あ、だから今日は二人なんだね」 「そういうこと」 「唯ちゃん隣どうぞー」 「うん、お邪魔しまーす」 「女子高生がラーメンかよ」 「これが一番出てくるの早いんだもん」 「カレーのが早いだろ」 「学食のカレーって辛くない?」 「別に辛くはねーと思うけど。食ってみるか?」 「箸で食べろと」 「言ってねーよ。ほら」 「ん。……あ、辛くない。私も今度カレーにしよー」 「カレーはトッピング選べて楽しいよねー」 「拓ちゃんのはA定?」 「うん、生姜焼き。唯ちゃん、その紙袋何?」 「あぁこれ?お菓子」 「お菓子?」 「11月11日だから」 「ポッキー!」 「と?」 「プリッツ」 「そう、あとトッポ」 「何でだよ」 「仲間外れは可哀相だと思って」 「いや、そもそもメーカー違うし」 「もう棒状なら何でも仲間かなって」 「オレその中ならトッポが一番好きー」 「じゃあ後で一緒に食べようよ。雪ちゃんも」 「やった!」 「くれるんなら貰うけど」 「小枝もあるんだよ」 「本当に見境ねぇな」 「棒状なら何でも仲」 「さっき聞いた」 「ラーメンも棒状だねぇ」 「……おぉ、そうだね!まぁ、だから選んだんですけど!」 「いや違ェだろ、思いっきり効率重視だっただろ」 「そう考えると麺類の日でも良さそうだね、今日」 「何かあるんじゃね、そういうの」 「調べてみよっかー」 「おまえさっきケータイ充電切れてたっつってたじゃん」 「うん、だからユキちゃんが」 「オレかよ」 「じゃあ私が調べて進ぜよう」 「いや、いい。オレが調べるから、新名は早く飯食え。のびるぞ」 「雪ちゃんやっさしー」 「ほざけ」 「厳しい……」 「大丈夫、あれユキちゃんの照れ隠しだから」 「てめぇは後で蹴る」 「やめて!」 「あー麺類の日は無ェなー」 「そうなの?」 「ん。記念日は多いけど。靴下の日とか、電池の日とか」 「わぁ、安直」 「食べ物なら、もやしがあるぞ」 「あ、なるほど」 「え、じゃあオレの生姜焼きにもやしの炒め物が添えてあるのって、もやしの日だから?」 「いつものことだろ」 「私の野菜ラーメンにもやしが入ってるのも、もやしの日だから?」 「だからいつものことだって」 「ユキちゃんのカレーには」 「入ってるわけねーだろ」 「もやしの日なのに」 「おまえらのもやしも、もやしの日には九割九分九厘関係無いからな」 「お、一厘の可能性はあるよ、拓ちゃん」 「悪い、訂正させて。十割無ェわ。一厘の可能性も無いわ」 「いちりんって言われると、お花みたいだなぁ」 「バラっぽいね」 「赤いやつね」 「拓ちゃん赤バラ似合うー」 「え、そっかなぁ」 「……オレはおまえらと話してると、あみだくじをしてる気分になる」 「当たりに辿り着けるといいねぇ」 「当たりどころか終わりすら見えないんだが」 「そういえば今日のSHRで席替えするって」 「おい、線を増やすな」 11月11日だったので。 雪成の「ほら」は、あーんじゃなくて、一口分乗せたスプーンを渡してるだけです。 15.11.11 |