「翔兄ちゃん、どこ行くん」
「おつかい。おばちゃんに頼まれてん」
「何買うんー?」
「お豆腐と牛乳」
「変な組み合わせやな」
「おつかいなんてそんなもんやろ。あ、あとお茶請けも買わな」
「ユキも行くっ」
「えぇー……」
「何で不満気なんよ」
「自主トレがてら、ロードで行くつもりやってんけど……」
「スーパーやろ? 徒歩圏内やし、そんなちょろっと走っても自主トレにはならへんで」
「いや、急ぎやないって言うし、ぐるっと町内まわってから、」
「ええやんか、可愛え妹とおてて繋いで仲良う行こうや」
「繋がへんよ、いくつやねん」
「妹は否定しいひんのやねぇ」
「……妹みたいなもんやろ」
「へへっ」
「キモイ」
「かっちーん」
「表現古すぎるわ」
「たまには歩いた方がええで。チャリばっか乗っとるからそんな猫背なんよ、翔兄ちゃんはッ」
「痛ッ!?思いっきし叩いたな、今!?」
「お茶請け買うんやろ、そしたらユキ居った方が絶対ええって。ほら、行こ」
「倍以上時間が掛かるだけな気ィするわ……」



「ほーら、やっぱりユキ居って正解やった!」
「菓子に釣られといてよう言うわ」
「まぁせっかくお一人様1本の安売りやし」
「帰ったらユキちゃんが甘いホットミルク作ってくれるなら2本買うてええよ」
「よっしゃ、絶品作ったる!」
「(ホットミルクの絶品とは……)」
「翔兄ちゃん、お豆腐どっちー?」
「絹。3つ」
「はーい」
「あとはお茶請けだけやな」
「あっち!あっち!」
「……わかったから、行くから、腕引っ張らんといて……」
「生菓子?それともお煎餅系?」
「好きなん買うておいで言われたし、どっちでもええんちゃう」
「ってことは、来客用やないんやなぁ。なら、みんなが好きなん買えばええね」
「来客用やと思たのについてきたん?」
「だってお客さん用ならいつもは買わへん高いやつ買えるし。余分に買うとけば貰えるかなって」
「嫌やこの子打算しかあらへん……」
「じゃあ焼き菓子とー、大福とー、翔兄ちゃんも好きなん選んで」
「何でもええよ」
「好きなん買うておいでって言われたんやろ」
「みんなの好きなの買えば、ボクもそれお裾分け貰うし」
「あかん、ほら、早よ選んで」
「えー、もォ……」
「(そもそもおつかいかて、翔兄ちゃんに好きなお菓子買わせるためやと思うんよね。普段、我儘いっこも言わへんし)」
「じゃあコレ」
「早ッ」
「早よって言うたんユキちゃんやで」
「そうやけど……、翔兄ちゃん、いつもコレやね。そんな好き?」
「ユキちゃんみたいに冒険心が無いだけや」
「気になるやん、新商品って」
「その右手に持っとるやつ絶対不味いと思う」
「そっかな」
「ええ加減学んだらァ?」
「えー、そんなこと言う翔兄ちゃんにはお裾分けあげへんー」
「じゃあボクのもあげへんよ」
「えっ!?」
「左」
「……はぁい」





「コレ」も結局はユキちゃんが好きなお菓子だって話。
15.11.09



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