「あらあらあら、マメトサカくんやないのー」
「御堂筋ッ!ワカメ!」
「わざわざ言い直しご苦労やな、トサカくぅん」
「朝言うた通りや、勝負してもらうからな!」
「やかましなぁ、ちゃーんと憶えとるよ。ボクはキミと違ってアホちゃうからね」
「アホ言うな!」
「アホやろォ?賢いスプリンターなんて、ボク見たことないわぁ」
「……オールラウンダーに転向した言うたやろ」
「あぁ、そうやったね。スプリンターやめる言うから、ロードごと捨てるんかと思たのに、とんだ誤算やったわ」
「捨てられるか、ボケ」
「うっわ、暑苦しい目ェしとる。キモッ」
「ワイはお前に勝って、その大事な称号、取り戻さなアカンのや」
「……ハァ?オールラウンダーになった言うことは、山もそこそこ登れるようになったんやろォ?頑張って練習したんちゃうの?」
「めっちゃ練習したで。鼻血出るまで脚ぶん回したわ」
「キミすぐ鼻血出るな。病院行った方がええで」
「うっさい、そういうん要らんねん」
「せぇっかくオールラウンダーなったんに、わざわざまたリンターに戻るん?アホの極みやな」
「何とでも言えや。大事なことやねん、ワイにとっては。お前に勝って、浪速の最速スプリンターの称号、取り戻すんや」
「ププッ、ホームの大阪で負けたん、そないに悔しかったァ?」
「悔しいに決まっとるやろ」
「……その目ぇキモイて」
「全然追い付けへんかった。勝てると思ったのに、抜かれて、置いていかれた。びっくりしたんや。確実に強くなっとったはずやのに、それすら超えられた」
「アホらし。ボクがキミより速かった、ただそれだけの話や」
「せやな。負けて悔しかったけど、でも、同時に思ったんや。……お前に勝てたら、気持ちええやろなって」
「ハァ?」
「あれだけ速いお前に勝てたら、相当気持ちええやろなぁ思うねん。せやから勝負や御堂筋!お前に勝って、称号も優勝も頂くで!」
「……総北はほんまウザくてキモイ奴ばっかりやな」
「ばっかりって……、お前、うちのメンバーはスカシしか知らんやろ」
「坂で笑うキモイ奴も知っとる」
「あぁ!?小野田くんはキモくないやろ!」
「(弱泉くんはキモイんか……)」
「とにかく!お前がどういう形でワイと戦ってくれるかわからんけど、絶対勝ったるからな!」
「……まぁ、勝ちは譲ったらへんけど、キミにはスプリンターがお似合いな気ィするわ」
「おっ、せやろせやろ!?」
「オールラウンダーは頭も使うからな。頭からっぽのキミには無理や」
「何やと!?からっぽ上等やんけ!からっぽの方が軽いからな!」
「一理あるなァ。……けど、レース中の分析力は必要や。ボクは、脚動かしながら頭を働かすことが出来るのは、武器や思とる」
「まぁ、それもわかるで」
「楽しみやなぁ。ボクとは違って、何も捨てきれん癖に、脳味噌だけはからっぽなキミの走りィ」
「バカにしとるな!?」
「ほやね。でも、バカにはしとるけど、手ェは抜かへんよ。……捨てきれん男いうんは、案外侮れへんからなァ」
「何の話や」
「こっちの話ィ。ええから早よスタート位置行きぃな。王者はんは一等前なんやろ」
「うわ、もうこんな時間か!じゃあ御堂筋、また後でな!」
「はいはい」
「…………」
「何、キモイからじっと見んといて」
「いや、お前のゼッケン、1並びでカッコええな」
「……嫌味ィ?」
「ただの感想や」
「ウザ、早よ散れ」
「へいへい、お邪魔しましたー」
「ちっさいから、人混みに潰されんようになぁ」
「小さい言うな!」





2年目インハイ開始前に書き殴った妄想。関西組大好きです。
14.12.15



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