「翔兄ちゃんの彼女、めっちゃ可愛らしいひとやな」 「……ごめんユキちゃん、ケータイ見ててよう聞こえへんかったわァ」 「あ、唯さんとメールしてんの?」 「……いつ、どこで会うたん?」 「昨日、家に来はったやろ。門のとこでちょうど会うたんよ」 「あぁ……、そうなんや……」 「夕方やったとはいえ、ちゃんと駅まで送ったらなあかんで」 「ほやね、変な人に声掛けられてからじゃ遅いもんな」 「何でユキの顔見ながら言うん」 「……で、何か話したん?」 「うん、メアド交換したで」 「ハァ!?」 「わ、危なッ、お茶こぼれるっ」 「な、何でそういうことになってん……」 「何でって……、なりゆきで?」 「もぉぉ……ユキちゃんコミュ力高すぎてキモイ……」 「仲良うなっといた方がええやん。将来、家族になるんやし」 「かぞ……ッ!?」 「あ、親戚の方が正しいかな」 「どっちでもええ……、何やの、家族て」 「え、なるんやろ?付き合うてるんやし」 「そんなん……わからんやろ」 「うわっ、最低や翔兄ちゃん!何なん、自転車バカに見えて実は遊び人なん!?」 「ちょっとユキちゃん声おっきい!!」 「翔兄ちゃんもな」 「…………別に、軽く考えとるわけやないよ。でも、どうなるかなんて、わからんやろ」 「そんなもん?」 「彼氏が居らんユキちゃんにはわからんかも知れんけど」 「ちょっと」 「さっきユキちゃんが言うたようにボクは自転車馬鹿やし、いつ呆れられても飽きられてもおかしないし、嫌われるかも知らんし」 「(……自分が心変わりするいう考えは無いのやね)」 「真剣に話しとるのに、何ニヤけとんの」 「お気になさらず、元からこういう顔やねん」 「……正直、唯ちゃんが何でボクと付き合うてくれてんのかもわからんのに、結婚なんて、ますますわからんよ」 「ふぅん。でも、翔兄ちゃんと結婚したら、唯さん幸せやろな」 「ユキちゃん、ボクの話聞いとったァ?」 「聞いとったよ。翔兄ちゃん、唯さん大好きなんやなぁって、ようわかった」 「だ……ッ!?」 「やから、大事に、幸せにしてあげるんやろなって。唯さんは幸せやなぁって思たんよ」 「ユキちゃん、ボクのこと過大評価しすぎやない?」 「何で?翔兄ちゃんが家族を大事にしてくれることは、家族のユキが一番よう知ってるで?」 「……ん」 「あ、ちょっと感動した?泣きそう?」 「泣かんよ、阿呆ちゃう」 「あーあ、ユキも彼氏欲しいなぁ!」 「あかん、ユキちゃんにはまだ早い」 「何でよぉ。あ、翔兄ちゃん、石垣さん紹介してや!」 「ハァ!?あかん!あんな面倒くさそうな男と付き合うたらあかんよ!」 「(翔兄ちゃんがそれ言うんや……) あ、今泉さんでもええよ」 「……面食い」 「顔がええに越したことないやろー」 「顔ばっかで選ぶんはどうかと思うわぁ」 「あー……まぁ、そうやなぁ」 「……何でボクの顔見ながら頷いたん?」 「べーつにー。ユキも唯さんにメールしよー」 「……余計なこと言わんといてな」 「はいはい」 「さっきの家族やら親戚やらの話もしたらあかんよ」 「わかっとるよ」 「男の紹介とか頼んだらあかんからな!絶対やで!」 「もぉ、翔兄ちゃんうるさい!」 普通に仲の良い兄妹みたいだったらいいなって思ってます。 14.12.12 |