◆おまけ1:ヒロインが本を返却している間の会話 「なぁ御堂筋、あの子……新名さん?彼女か?かわええな」 「石垣くんには関係ないやろ」 「関係無くても興味はあるわ」 「うわぁ、ウザイしキモイ」 「でもほんま石やんの言うた通り、かわええ子やな」 「ファー……」 「え、何や」 「井原くんって、案外普通の子ォが好きなんやなぁって思て」 「それそっくりそのままお前に返すわ!」 「煩いなァ、声抑えや、図書室やで」 「はいはいっ」 「しかしキミら、図書室似合わんなァ」 「まぁ確かに来たの久々やわ」 「今までみんなで勉強するときは部室使てたしな」 「……行ったらあかんで。水田くんたちが使とるから、邪魔せんといたげてや」 「そら引退しとるし、行かへんけど……。そんな切羽詰まっとるんか、あいつら」 「全教科平均以下取ったらインハイメンバー落とすって言うた」 「鬼かお前は!」 「別にほんまに落とすつもりあらへんわ。これからシーズンオフやから、ちょっとは勉強もしぃやって意味で言うたんや」 「それにしたってやな……」 「3年になってから焦ると、今のキミらみたいなことになるやろ」 「失礼な!そこまで追い詰められてへんわ!」 「オレちょっと辞書借りてくる」 「おー」 「ノートまっさらやんか。大丈夫なん、受験生様ァ?」 「3年の勉強の難しさ知らんやろ、お前はっ」 「1年で習う基礎が出来てへんから、応用が出来ひんのとちゃう」 「石やん、こいつ正論ばっか言うてくる!」 「それでこそ御堂筋や」 「石やんどっちの味方なん!」 「友達も後輩も大事やでー」 「聖人君子か!」 「こういうんは八方美人って言うんやで」 「容赦無いなぁ、お前」 「キミに遠慮する必要あらへんからな」 「ふは、確かにな」 「もー、彼女連れて早よ帰れやお前はぁ」 「言われんでも……、……何してんのや、あの子は……」 「((あ、辻が殺される))」 ◆おまけ2:帰り道にて 「なぁ、さっき、辻くんと何話してたん」 「辻くん……」 「本取ってくれはったひと」 「あぁ!あのね、私が借りてる本、読んだことあるんやって。面白いですよねーって話してたんよ」 「……それだけ?」 「うん。この作家さん好きーっていう話をちょっとしてただけ」 「……そっか」 「どうかした?」 「…………あんまり、他の人の前で、好き、とか……言うたらあかん、よ」 「……ふ、ぇ?」 「……ごめん、今の忘れてええわ」 「えと……、本の話、やよ?」 「うん、わかった、わかったから」 「ほんま?ほんまにわかった?」 「大丈夫や、わかったよ」 「作家さんの話で、辻さんのことやなくて、私が好きなんは御堂筋くんだけやからねっ?」 「わかったし、勘違いしてへんし、知っとる!」 ヒロインと辻くんの会話の「好き」という単語だけが聞き取れてしまって、ずっともやもやしてた御堂筋なのでした。 15.01.23 |