「ドリさん!」
「ん?」

呼び声と共に腰に感じる衝撃。
誰かなんて声で分かっているからこそ顔に笑みが浮かぶ。

「どうした?名前」
「あのね、ドリさん」
「ん?」

にこにこと笑った顔がすごく好きだ。
だけど、次に飛び出した言葉には驚いた。

「海に行きたい!」
「は?」




ブロロロロロ…と車が震える。
俺達は、というか俺は今名前の希望通り海に向かっていた。
あの言葉を言われた時は、今何月かと改めて考えたが楽しそうに言う名前に何も言えなくなり、車で海に向かっていた。

「おい、あんまり顔出すなよ」
「はーい!」

窓から顔を出して楽しそうに笑う名前は可愛いのだが、不安でもある。というかかなり不安だ。
名前はおっちょこちょいだからよくわけの分からないところでこけたりする。だから窓から落ちないかと不安で不安で仕方ない。
俺は車の運転をしているからそっちに集中しなくてはいけないのだが、集中出来ない。

「名前」
「わー!すごーい!!」
「名前」
「わー!うわー!!」
「名前、落ち着け」
「え?何ドリさん」
「頼むから、ちょっと落ち着いてくれ」
「なんで?」

乗り出していた身体を車の中に戻す名前にホッと落ち着く。
…本音を言えば落ち着いていなかったのは俺の方だ。

「………」
「ドリさん?」
「…心配になるから、落ち着いてくれ」
「へ?」

俺の言葉にきょとんとする名前。
それから笑い出した。

「ふ、ふふふふふっ…!」
「……」

少しだけ恥ずかしいが本音だから仕方ない。

「ドリさん、心配してくれてたの?」
笑いながら訊く名前。
「……」

俺らしくないとは分かっているがなんとなく、頷く気にはならなかった。

「ありがと、ドリさん」
「…あぁ」

まだ笑っている名前。
なんというか、恥ずかしい。




「ドリさん、見て見て!」
「おい、あんまりはしゃぐとこけるぞ」

楽しそうに冬の海を駆け回る名前。
少し肌寒いが走り回るにはちょうどいいのかもしれない。

「はー!やっぱり海はいいなぁ…」
「そういえば、どうしていきなり海なんだ?」
「え?」
「ん?」

首を傾げられ、俺も首を傾げる。
変なこと訊いたか?

「んーっとね、」
「あぁ」
「達海さんの字を見たから!」
「は?」

一瞬意味が分からなかった。
けど達海監督の名前(漢字な)を思い浮かべて納得して、下らなくて笑い出す。

「は、はははははっ!そんな理由なのか?」
「むー!笑わないでよー!」
「達海監督の、海を見て行きたくなるなんて、な…!」

名前のこういうところはもちろん好きだ。
だけどやっぱり面白い。

「ふ…ははははははっ!!」
「ドリさん笑いすぎ!!」
「悪い悪い」

あー、笑った。
笑いすぎて涙が出てきた。

「まぁ、俺も好きだが。海」
「!でしょ!!」

嬉しそうな名前の笑顔を見られたから達海監督に今度お礼を言っておこう。







―――――――みやま様申し訳ありません!
タイトルを全く活用出来ませんでした…orz
しかも話の繋がりがかなりおかしくなってしまいました(T-T)
畜生不完全燃焼だぜっ…!!

でもドリさん書くの楽しかったです!
また懲りずに参加するかもしれません^^←
その時はどうぞよろしくお願いします。ではでは乱文失礼致しましたっ!


朱鷺



≪冬の海に突撃≫
幻想の戦場:朱鷺さま


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