昼のワイドショーで、ある女優の結婚会見が報道されていた。

その女優の名前を見てある事を思い出す。


『この人って、宏さんが昔つき合ってた人…』


私はずっと宏さんのファンだったから、昔宏さんが日本代表の正ゴールキーパーだった頃に噂になっていた恋人の存在をもちろん知っていた。

でも、本人からは聞いた事はない。

なんとなく、聞くのが嫌で…

私と同じ30歳のその女優は、今でもとても綺麗でスタイルも良くて、とてもじゃないけど私が勝てる要素なんて見つからない。


宏さんは何故私とつき合ってくれるのかなっ?
マイナス思考に囚われる自分が嫌い…









『…んっ…ハァ、宏さ…ん…好き』

「…あぁ、俺もだよ。」


彼の少しゴツゴツした大きい手が、私の頬に触れて優しく撫でてくれる。

私は、この大きい手が好き。ゴツゴツしてるのは毎日一生懸命ボールを掴んでいるから。

ETUのゴールを守る守護神と言われる宏さんの頼もしい手が、今この瞬間は私に優しく触れて安心感を与えてくれる私だけの手になるのがとても嬉しくて、愛おしい。

彼の手をそっと握って、その指にちゅっとくちづけた。


『…どうした?今日はいつもと違うな。なんだか…』


そう言いかけて彼の手を握っていた私の手の甲に私がしたようにちゅっとしてくれた。


『…なんだか?ってなに?』


先程の続きを求めると、彼は少し困った顔をして笑った。


「…う〜ん…エロいなっ。」

『えっ!エロ…い?』


普段聞き慣れない単語に、少しビックリした。

私の容姿からエロいなんて言葉が浮かぶとは、思ってもみなかったから…ジッと宏さんの顔を見つめた。


「ハハッ、俺を誘ってるのか?」

『えっ、えっ!あっあの…宏さん…』


うろたえてる私に、ニヤリと笑った宏さんの方がよっぽど色っぽくて、それこそエロいと思うんですけど。

私の髪を掬って唇に持っていき、その髪にキスをする宏さんの姿に顔が熱くなって、下腹部がきゅっとした。

たったこれだけで、私のソコが彼を求めて潤ってくるのがわかるから、本当にズルイなって思う。


『宏さん、欲しい…よ。』

普段こんな言葉、恥ずかしくて言った覚えがないから、自分自身も言った後でハッとした。

宏さんはもっとビックリしたみたい。

なんだか、視線が泳いでる?


『…あっ、あの…宏さん?』


はしたない?呆れた?


こんな言葉を口にする自分にびっくりだけど…

仕方ない…じゃない。

彼の心も身体も、もっともっと欲しくて…大切にされてるのはわかってるし、優しく扱ってくれてるのも嬉しい。

でも、ね。

いつも余裕の彼だから、余裕のない顔を見てみたいし私にだけ見せてくれる顔をもっと、もっと見せて欲しい…

綺麗な女優とつき合えちゃうような素敵な人だから、いつも不安でたまらない。


「俺も、お前がもっと欲しい。でも…いいのか?」

『…えっ…』


宏さんが私の耳元に唇を寄せたかと思えば、不意に囁いた。


「お喋りは終わりだ。今夜は…加減出来そうにないから、覚悟しててくれ。」


一瞬自分の頬がカァっと熱くなって、これ以上ドキドキさせてどうすんのって宏さんをジ〜っと見つめれば、フッと笑ってキスしてくれた。
『宏さん、いっぱい愛して。』


あぁと一言囁いて、大好きな彼の手や熱い唇が私の身体に触れた。

私の中であなたの愛がいっぱいになったらいい―。


淫らな私も、いやしい私も、どんな私だって…


あなたへの愛がそうさせるから。











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初めまして、胡桃です。素敵な企画に参加させていただいてありがとうございます。今回ジャイキリの小説は初めて書かせてもらったんですが、ドリさん…素敵です!大人のエロスを書くぞっ!なんて、気合いを入れて書きはじめたはずなのに…あれっ?全然エロスじゃないじゃん(T-T)すみません。もっと大人なドリさんを書きたかったのに(^∩^`) ヴッ。また、ドリさんに挑戦したいです!


実は、私事ですが…東日本大震災に巻き込まれまして、我が家は床上浸水で今避難所にいます。身内が津波の被害にあって行方知れずだったりでとても辛い日々ですが、ちょうど地震の前日に書き終わっていたので提出させていただく事にしました。同じく被災された方もいらっしゃると思いますが、生きていられる事に感謝して頑張っていきましょ〜!
私も頑張って生きたいと思っています。



≪劣情と紙一重≫
あの日僕は、君に心を奪われた:胡桃さま


あとがきをいただきましたのでそのまま転載させていただきました!(みやま)

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