「テメッなんで反応しねーんだ鳴かねーなら割っちまうぞオイィィイイ!!」

ほのかな期待と共にテレビの向こうに3DSを向けてみたが、このDS画面の向こうの結野アナには見事なスルーをかましやがる。
俺のデータ入ってんならソコは本丸でしょ。そこんとこわかってない。わかってねーよこのDS。アンケはぜってーボロクソ書いてやる。

【2】


PACHIEは、雇用主としての良心が咎めるので攻略を諦めた。6人、まだ6人いるはずだ。すでにそのうちの2人は攻略したくなんかないワケだが。
もしかしたら結野アナに反応しないのはテレビ越しだったからか?そうだきっとそう。俺のDSだもん実物相手ならきっとビンビンだよ暴走息子だよ。
ヅラと沖田に反応したときの距離感からして、会話を交わさずとも目に入る位置にいればいいワケだ。テレビ局にちょっと忍び込めばいいワケだ。楽勝楽勝。

「銀さん、出かけるんですか?」
「ウンちょっとね」

そして俺は意気揚々と家を出た。
結野アナをオとすギャルゲなんて願ったり叶ったりだ。なんせギャルゲっていうくらいだからフラグは向こうからやってくる。こっちはただうまーく回収してやりゃいいだけだ。そしてそういう手練手管に関しては俺の右に出る者はいない。いやコレマジだから。マジだかんね。
ニヤニヤしながら通りを歩いていたら、向こうからお妙と、なんか赤いリボンをつけた黒い毛玉がやってきた。アレ・・・ゴリラ?何で雌ゴリラが二頭で散歩してんの?

「あら銀さん、お出かけですか」
「お妙・・・ナニソレ、その隣のお仲間」
「ァン?何か言ったかコラ。やぁね〜何ですか今更、このコは」

ピコーン♪

しまったゴリラに気をとられてお妙にゲームが反応する可能性を忘れてたァア!!
既にイロモノが3/7を占める現在、本丸確保を確認するまではできるだけ反応しないでほしいっつーのに、ぬかった!

『このコはゴリ子チャン!お妙チャンのことが大好きな友達思いのゴリラ系ゴリラっ娘だヨ!好感度は現在33%!』

そっちィィイイ!!?
お妙に粘着するゴリラっつったらもうアレしか思い浮かばない訳だが、もはや女装とかそういう域を軽く越えて原形に回帰している。お前性別変わったときベルばらもかくやって宝塚系美女になってたじゃねーか!なんで今ココでソレ!?

「DS?何ですかそのオモチャ」
「ウホッ」
「あイヤ、きっ近所のガキからゲームのレベル上げ頼まれちゃってさァ〜じゃっ俺コレで」

落ち着け、優しくしなきゃフラグは立たない。つーか言葉が通じないんだから立ちようがない。
そそくさと立ち去る俺の後ろから二人(?)の楽しそうな会話が聞こえてくる。よかったな近藤、ストーカーから友人に昇格して。こっちからすりゃ何で人語とゴリラ語で会話が成立してるのか理解不能なんだけど。やっぱお妙ゴリラなの?
ともあれこれで傾向は見えた。このゲーム、確実にイロモノを狙って対象設定してやがる。そっちがその気ならこうだ、と目的地に着くまで電源切っとこうと思ったら、ピコーン♪とまた苛立たしい電子音が鳴った。

『クリア前に電源を切ると女のコたちの好感度が地に落ちちゃうヨ!』

「やってられるかァァアア!!」

パンッ
思わず3DSを地面に叩き付けた。が、何でできてるのかキズ一つつきやがらない。
攻略対象はクリアになんねーのか。好感度だけ落ちるってソレ誰のための設定だよ。
イロモノの攻略対象。女体化どころか女装すらお粗末な知り合いたち。これでギャルゲやれって冗談きついにも程がある。
正直捨てて帰りたいが、そうすると呪いのようにあいつらはあのまんまだ。
地面に落ちた3DSを拾いもせず、がっくりと肩を落としたら物凄く重い溜め息が出た。



「オイそこの天パ、警官の前でポイ捨てたァいい度胸してやがンな」

ガキィンッ!

振り向くが早いか、脳天目掛けて降り下ろした木刀にヤツの抜いた刃が食い込んだ。

「・・・公務執行妨害もオマケするかァ゛!?」
「知るかテメー何してくれたかわかってんのかコラァアア!!!」
「何の話だ!?」

ピコーン♪

『このコはX子チャン!フォロー上手なしっかり者!クールな魅力の良きライバルだヨ!
好感度は現在17%!』


「やってられるかァァアア!!!」


























































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