inzm | ナノ


とある休日、サッカー部が珍しく休みと聞いて私は秋を家に誘った。うるさい家族もラッキーなことに全員、出掛けてるから丁度良かった。部屋に通した秋を後ろから抱きしめると、慌てたような照れたような反応をする。そんな秋が可愛くて、抱きしめる手に力を込めると、応えるように秋は私の腕に手を添えた。

「秋…何だか最近、生き生きして楽しそうだね」

「部員も増えてたし、大会も順調に勝ち進んでるから、多分それ」

「良いねぇ……サッカー部は」

「なまえちゃんもサッカー部のマネージャーになる?」

「うーん…秋との時間が増えるのは嬉しいけど、こうやっていちゃいちゃ出来ないから嫌」

「もしかして、寂しい?」

「そりゃあ…まぁ。それに秋、前以上に可愛くなったし、いつかサッカー部に取られるんじゃないかって心配」

「ふふっ」

クスクスと笑い、秋は腕をトントンと軽く叩く。腕を解くと秋はこちらへ向き直り、私の胸に飛び込んでギュッと抱きしめた。まさか秋から抱きしめてくれるとは思わなくて…というより、今まで私から抱きしめることが多かったから…。そんなこんなで私は、初めて秋から抱きしめてくれたことに驚いたまま突っ立った状態になっていた。

「安心して。私はなまえちゃんが大好きだから」

その告白が嬉しくて、私は秋の背中にソッと手を回した。