inzm | ナノ

※春奈と同級生設定です



思えばいつも、私の隣には春奈ちゃんがいた。

例えば、私が彼氏に別れを告げられて泣きじゃくってるときぎゅっと抱きしめてくれた。例えば、私が虐められたときその小さな手で私の手を握っていてくれた。
だから春奈ちゃんは必要不可欠な存在で私の心臓の一部だ。
春奈ちゃんがいないと寂しくて苦しくて、死んじゃいそうになる。


「あのね、」
「ん?」
「私、春奈ちゃんのこと大好き。誰よりも好きなの。それに、誰よりも愛してる自信だってある」
隣にいる春奈ちゃんにゆっくりと話し掛けたら驚いた表情をされた。でもすぐに柔らかい笑顔で頷いてくれた。
…やっぱり冗談だと思ってるのかな。私は胸を締め付けられたような気持ちになる。
…もしかして気持ち悪いって思われてる?私の心は不安でいっぱいになる。

「本当だよ、本当に私は春奈ちゃんが好き。春奈ちゃん、ねえ春奈ちゃん、春奈ちゃん……」
何度も何度も春奈ちゃんの名前を呼んだ。だってそうしてないと春奈ちゃんがどこかにいなくなってしまうような気がして。


「お兄ちゃん、」
春奈ちゃんの唐突な一言に驚く。なんでここで鬼道さんが出てくるのか分からない。どうしよう、私がしつこいからって鬼道さんを呼ぶつもりなのかな…。
「お兄ちゃん、こっち見てないよね」
俯いていた私の頬に柔らかい何かの感触。その柔らかい何かが離れたとき私は目を大きくして春奈ちゃんの方を見た。春奈ちゃんはいつもと変わらない笑顔でこちらを見ている。
「なんだか可愛くてキスしちゃった」
それから少し赤くなった春奈ちゃんは私も好きと囁いた。




思えばいつも、私の隣には春奈ちゃんがいた。例えば、私が好きだよと言ったら春奈ちゃんは口付けてくれた。

これからも春奈ちゃんは私の心臓の一部。