inzm | ナノ




私、みょうじなまえは悩んでいた。
原因は私の隣で一生懸命おにぎりを握っている音無春奈にある。
イナズマジャパンのマネージャーである私には、今日は春奈と共にお昼を作る、と言う重大な使命があった。
で、今二人でせっせと何十個と言うおにぎりを握っている訳だが、春奈は暇なのか、私に質問をしてきた。
質問の内容はこうだ。


「なまえ先輩には、好きな人、とか、いないんですか?」


思春期なら誰でも聞かれたことはあるだろう。
主に女子の間で盛り上がる会話だ。
そんな質問を、春奈は目を輝かせて私に聞いてきた。

そして、その質問にどう答えればいいのか、私は悩んでいるわけだ。
理由は一つ、私の好きな人、と言うのは音無春奈なのだ。
女が女を好きになる、と言うのは一般的に見ればやはりおかしいことなんだろうか。それでも好きになってしまったのだから、仕方ない。


「私の好きな人、は、春奈だよ」


そう、いつもと変わらない表情で告げてみると、春奈は目をぱちくりさせた後、「もう、先輩ってば真剣に答えてくださいよ〜!」と言った。
うん、やっぱり思った通り、春奈は私の告白を冗談だと思ったようだ。
最終的には好きな人はいない、と言っておいた。春奈はつまらなさそうな顔をしていた。
さて、おにぎりも作り終えたから、下らない会話もお仕舞いだ。

ふと、春奈には、好きな人がいるのだろうか、と思った。
思ったけど、思っただけで聞こうとは思わなかった。
悩みのタネを増やすのは、趣味じゃないし。


「なまえ先輩ー、早くいきましょう!」

「あ、うん」


それに、もう少し、このままでいたいしね。




悩む
(貴方には悩まされてばかりだ)




*女の子!提出作品
参加させてくださりありがとうございました!


1001 柚稀