太陽と月の出逢い
「ここが、十番町…」


私は部屋を借りた高層マンションの屋上に立つと、静かに目を閉じ、空気を伝って流れて来る気に、全神経を集中させた。


「……この町全体が、妖気に包まれてる…。まさか、月のプリンセス達に会いに来たら、夢で聞いた邪悪な気配に包まれた場所を見付けるなんて…。……とにかく、情報通り、月のプリンセスと内部4戦士がいるのは、この町で間違いなさそうね…。(そして、ウラヌス、ネプチューンの2人も、この町のどこかに…)」


私は閉じていた目を開け、踵を返し、屋上を後にした。その後、出掛ける用意を終えた私は、マンションを出ると、十番中学へと向かった。



―――――



「(月のシステムにハッキング出来たのはここまで…。ここの生徒の誰かが、セーラームーンと、その守護戦士達…)」


私は校門の前で一度学校を見上げ、自分の中で気合いを入れると、職員室へと向かった。

職員室に着いた私を待っていたのは、私が転入する事になっているクラスの担任、桜田先生だった。


「日向さん!」

「おはようございます、桜田先生。すみません、急遽決まった事で、制服間に合わなくて、前の学校の物なんですが…」

「おはよう、日向さん。いいのよ、仕方ないわ。それより、これから卒業までの1年間、よろしくね?」

「はい。こちらこそ、いろいろとご指導の方、よろしくお願いします。」

「それじゃあ、もう時間だし、教室に行きましょうか?」

「はい。」


そして私は桜田先生の案内で、転入先の教室に向かった。教室に向かう途中でチャイムが鳴り、廊下にいた生徒達は急いで教室の中へと入って行った。

それから暫くして教室の前へと着いた私は、桜田先生の合図があるまで、教室の前の廊下で呼ばれるのを静かに待った。


「ひ〜っ、遅刻だ遅刻ー!!」


その時、そんな声と共に、廊下を掛けて来る1人の少女が私の目の前に現れた。その少女は、柱に背を預けて立つ私を目に捉えると、質問を投げ掛けて来た。


「あれ…?あなた、転校生?」

「え…?あ、うん。今日、このクラスに転校して来たの。よろしくね?」


その少女の問い掛けに、私は微笑んでそう答えた。


「(わー……綺麗な子…)」

「?あのー…?」

「え?あ、は、はい!?何でしょう?」

「教室、入らなくていいの?」

「え?あー!!」


私のそんな問い掛けに、目の前の綺麗な金髪をお団子に結んだ女の子は、声を上げた。その声を聞いた桜田先生が、教室の扉を開け、少女を目に捉えた。


「月野さん!!またなの!?全く、あなたは……もう少し、受験生だと言う自覚を持ちなさい!!」

「うわ〜ん、ごめんなさーい!!」


先生に怒られ、泣きながらそう謝った女の子に、先生は溜め息を吐きながら教室に入るように言った。


「日向さん、あなたも入って、皆に自己紹介してもらえるかしら?」

「はい、わかりました。」


そして私は先生の後に続き、教室の中へ入ると、自己紹介を始めた。


「突然の事で制服が間に合わなくて…こんな格好で失礼します。私立S・S女学院からこのクラスに転入して来ました、日向夏希です。卒業までの約1年間、どうぞよろしくお願いします。」


私はスカートの裾を持つと、少しだけスカートを広げ皆に挨拶をした。そんな私を、クラスの皆は温かい拍手と共に迎えてくれた。


「それじゃあ、日向さんの席は…」

「春だ先生、あたしの隣空いてるよ!」

「あら、本当?それじゃあ、日向さんの席は、月野さんの隣ね。」

「はい。」


先生の言葉に、私はさっきの女の子の隣の席へと腰を下ろした。


「あたし、月野うさぎ!気軽に、うさぎって呼んで?よろしくね、日向さん!」

「ありがとう。私の事も夏希でいいよ?よろしくね、うさぎちゃん。」

「うん!」


私の言葉に、うさぎちゃんは可愛らしく微笑んだ。


「それじゃあ、時間も時間だし、このまま授業を始めます!今日は教科書の……」


こうして、私の十番中学の生徒としての生活が幕を開けた。
to be continued...
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