終焉へ向かって
目覚める…

沈黙の…悪の根源…

沈黙の戦士目覚めし刻…

星は終焉へと向かうだろう…




―――――



「…っ…!」


深夜、私はたまに見る予知夢により目を覚ました。


「ハァ…ハァ…っ……」


今は12月の真冬だと言うのに、飛び起きた私の体は汗だくで、私は荒い呼吸を繰り返した。暫くして、漸く呼吸が落ち着いて来た頃、今見た夢を、ゆっくりと思い出した。


「っ…(世界が沈黙に晒される映像は、今までに何度も夢で見た…。だけど今日のは、今までにない…こんなに不吉でリアルな夢は初めて……それに、夢の中で聞いた言葉が確かなら…)沈黙の救世主が、目覚める…!」


私は小さくそう呟くと、ベッドを抜け出し、着替えを済ませ、急いでマンションを出た。幸い、今日希望ははるかの家にいる。私は誰にも何も知らせず、1人無限学園へと向かって足を進めた。

一方でその頃―…



―――――



「っ…ゃ…嫌……!ダメ…止め、て…!!」

「み……ぞみ…!希望…!!」

「!パ、パ……?」

「随分魘されてたぞ…そんなに怖い夢見たのか?」

「っ…パパ!!」


はるかの呼び掛けによって目を覚ました希望は、飛び起きてすぐにはるかに抱き付き、突然泣き出した。そんな希望の様子に何かを感じたはるかは、希望にどんな夢を見たのか尋ねた。


「夢で何を見たんだ?」

「っ…星の、終焉……沈黙の救世主が、目覚めて……それで…っ…皆を救う為に…ママが…ママが…!!」

「!そう、か……(何だ…この胸騒ぎは…)」

「パパ…っ……ママ、死んだりしないよね…?大丈夫だよね…?」

「大丈夫だ…ママは…夏希は、僕が命に代えても守ってみせる…!」

「!そんなのダメだよ…!!パパもママも…みちるお姉ちゃんもせつなさんも…!皆無事じゃなきゃダメだよ!!」

「!……そうだな…」


希望の言葉にはるかが小さく笑みを溢したその時、はるかの通信機が、着信を知らせた。


「こんな真夜中にどうした?」

「大変よ!何だか嫌な予感がして、今無限学園に向かっているのだけれど、無限学園の生徒達が、まるで暗示に掛けられたみたいに、続々と学校に集まってるのよ!」

「!何だって!?」

「それだけじゃないわ…!その中に夏希の姿も…!!」

「「!?」」

「わかった!僕もすぐに向かう!」


はるかは通信機を切ると、急いで着替えを済ませ、同じく着替えを済ませた希望と一緒に家を出た。



―――――



「!今まで以上の強い邪気…!!(こんな邪気の中にほたるちゃんを置いてたら、本当にセーラーサターンが目覚めちゃう…!)急がなきゃ…!!」


無限学園へと辿り着いた私は、今まで以上の邪気に少し焦りを感じながら、建物の中に入ろうと足を一歩踏み出した。しかしその時、背後から私を呼ぶ声に、私は足を止め、後ろを振り返った。


「夏希!!」


私を呼び止めたのはみちるで、私は驚いた顔のままみちるに問い掛けた。


「!みちる…どうしてここに?」

「何だか嫌な予感がして……そんな事よりも、あなたこそどうして1人で行こうとしたの!?危険なのはわかっているでしょう!?」

「…ごめん……危険なのはわかってたけど、あんな夢見たら、少しの時間も惜しくて…」

「夢…?」

「うん…」


私の言葉に首を傾げたみちるに、私は先程見た予知夢の内容をみちるに伝えた。


「!そんな…沈黙の救世主が、目覚める…!?」

「今まで見た、こう言った予知夢は外れた事がないの……だから…っ…!」

「…確かに、夏希が焦る理由もわかるわ…。けど、こう言う時こそ、私達を頼って…!あなたを守るのが、私達の使命であり、どうしても叶えたい願いなの…!あなた1人に、危険な真似なんてさせないわ…」


そう言うとみちるは、私の体をきつく抱きしめた。


「みちる……」

「夏希!!」

「ママ…!!」

「!はるか!希望…!!」


私がみちるの背に手を伸ばしたその時、はるかと希望が慌てた様子で無限学園へとやって来た。


「バカ…!!1人でこんな所に来るなんて…何かあったらどうするんだ!!」

「ママ、置いてっちゃ嫌だよ…!!」

「……ごめん、希望、はるか…」

「…頼むから…1人で無茶しないでくれ…」

「…うん…ごめん…」


はるかは、みちるとは反対側の、私の背後から私をきつく抱きしめた。サイドからは、希望も…


「ごめんなさい……もう1人で行こうとしたりしない。…危険だけど、3人とも、私に付いて来てくれる…?」

「「「当然!(だろ?/でしょう?)」」」

「…ありがとう、皆。行こう!沈黙の救世主の目覚めを、何としても阻止するのよ!!」

「「「ああ!(うん!/ええ!)」」」
to be continued...
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